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2022.04.14

2022年度 SFCキックオフレクチャーに羽渕博行氏が登壇

Kickoff2022_1.jpg4月6日に2022年度SFCキックオフレクチャーが開催されました。
キックオフレクチャーは、SFCの新入生を対象に各界で活躍されている方をお招きしてご講演いただくことで、学生諸君に視野を広げ、今後の学生生活を有意義に過ごすことの重要性を学び、学問に取り組む姿勢や社会の変化を正確にとらえる目を養ってもらうことを目的として毎年開催しています。
Kickoff2022_2.jpg2022年度は、海上自衛隊海洋業務・対潜支援群司令/海将補の羽渕博行氏に「語られなくなった物語 『眠れる梟』」と題してご講演いただきました。
羽渕氏はSFC1期生で、在学中は故小島朋之教授(元総合政策学部長)の研究会に所属し、1994年に総合政策学部を卒業後、海上自衛隊にて任務に就く傍ら、京都大学大学院法学研究科や米海軍大学での研究にも取り組まれました。広い視野と社会に対する深い見識の下、SFC在学中のエピソードを交え、3つの物語になぞらえて新入生へのメッセージを語っていただきました。

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第一の物語は、「ごっこの世界」と題して、故江藤淳教授(元環境情報学部教授)の政治評論「『ごっこ』の世界が終わった時」を紐解き、ひとつの思想を"物語"と表現しつつ、次の二点について強調されました。
▶物語はやがて直接的には語られなくなるので、学びの時を逃さないこと
▶語られなくなったと思われても、物語の本質は受け継がれることがあるので、学びを止めないこと

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第二の物語は、「みえない力」と題して、山本七平氏の著作(日本はなぜ敗れるのか ―敗因21カ条)のベースとなった「虜人日記」の紹介などを通じて、語られるべき大切なことであっても、お互いが牽制しあい、最後まで語り尽くされないことがあるとして、次の二点の重要性について示されました。
▶物語は語られないことがあるので、自ら語り始めることを心掛けること
▶真に自由な語りを考え、護ることが大切であり、相互の語りを受け入れる社会を維持すること

Kickoff2022_5.jpg第三の物語は、「夕暮れの訪れ」と題して、初代総合政策学部長の故加藤寛教授が語った"ミネルバの梟"と、ヘーゲルが「法の哲学」にて言及した"ミネルヴァの梟"との解釈の差異などについて話され、次の二点について指摘されました。
▶物語は自由に語られることがある一方で、その裏では、同時に語られないことが存在するので、見極める力を追い求めること
▶「夕暮れ」とはいつか訪れるものではなく、時の経過とともに常に"今"発生するものであって、問題を発見し解決に努めるのは、今この瞬間からであること

最後に、夕暮れの訪れを認め、羽ばたき、物語を紡ぐのは、「眠れる梟」たる新入生自身であるとして、阿川尚之教授(元総合政策学部長)の「SFCのうた」を朗読されたうえで、「SFCへようこそ!」と締めくくられました。

続く質疑応答では、感銘を受けた学生から多くの質問が寄せられ、講演後にも羽渕氏を囲む学生の姿が見られました。

◆羽渕 博行
1994年 慶應義塾大学総合政策学部卒業
同年  海上自衛隊入隊(第45期一般幹部候補生課程入校)
2006年 京都大学大学院 法学研究科 修士課程終了(法学修士)
2009年 潜水艦たかしお艦長
2014年 米海軍大学 指揮課程修業
2016年 第1練習潜水隊司令
2017年 海上幕僚監部 防衛部 防衛課長
2019年 防衛監察本部監察官
2021年 現職(海洋業務・対潜支援群司令)

発信者:湘南藤沢事務室 総務担当