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2021.07.21

SFCから東京2020オリンピック・パラリンピックへ ~ デザイン分野での貢献

SFCでは、東京2020オリンピック・パラリンピックに競技の代表選手だけでなく、多彩な研究でも貢献しています。
東京2020オリンピック・パラリンピックを支える研究やプロフェッショナルの一例を紹介します。

東京2020 NIPPONフェスティバル コンセプト映像アルゴリズミックデザイン   松川昌平 環境情報学部准教授

東京2020大会公式文化プログラムとして開催された"東京2020 NIPPON フェスティバル"のコンセプト映像のアルゴリズミックデザインを松川昌平環境情報学部准教授が担当しました。

東京2020 NIPPON フェスティバル特設サイト

Tokyo2020公式YouTubeより
日本フェスティバルコンセプト映像製作スタッフ:
ディレクター:野老 朝雄 (アーティスト / フェスティバル マーク制作)
アルゴリズミック・デザイン:松川 昌平 (建築家 / 慶應義塾大学SFC 環境情報学部准教授)
太鼓奏者:林 英哲 ( 太鼓演奏者 / 英哲風雲の会)
プロデューサー山口 慶子

松川昌平准教授コメント

オリンピック・パラリンピックの両エンブレム、そして日本フィスティバルのマークという3つのロゴは、一見すると全く異なるかたちに見えますが、実はその背後には共通する幾何学的な理が隠されています。その理のことを3つのエンブレムをデザインした野老朝雄氏は「律」と呼んでいます。私はその律をコンピュータアルゴリズムへと翻訳しました注1。共通の律から産み出される森羅万象のパターンを林英哲氏が奏でる和太鼓の音律にのせて映像作品として表現したものが日本フェスティバルのコンセプト映像です。律があることによって可能になるデザインの豊穣さを少しでも多くの人に伝える機会になれば幸いです。

注1:松川昌平、東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレムの背後に隠された幾何学的な理、KEIO SFC JOURNAL Vol.20 No.1、2020.09 

東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 表彰台の 3D プリンタによる製造設計 環境情報学部教授 田中浩也研究室

田中浩也教授は、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の表彰台を3D プリンタで制作するプロジェクトの設計統括を務めました。また田中浩也研究室の卒業生・研究員・学生が連携し、研究開発から製造設計までの重要パートを担当しました。今大会の表彰台は、市民参画型「みんなの表彰台プロジェクト」として、史上初となるリサイクルプラスチックで作られたものです。全国約2000 店舗の大手スーパーやドラッグストア、113校の学校と企業・団体から、合計24.5 トンもの資源が回収されました。デザインは、大会エンブレム制作者で美術家の野老朝雄氏が担当し、田中浩也研究室の卒業生でもある平本知樹氏(2010 年度大学院政策・メディア研究科修士課程修了)が3D 製造への可能性を生み出し、調色設計を含めプロジェクト全体をディレクションしました。

東京 2020 オリンピック表彰台

20210721_オリパラ表彰台模型画像aaaaa.png

田中浩也教授コメント

本プロジェクトへの参加要請を受けたのは 2019 年の夏、美術家の野老朝雄氏による美しい幾何学形状のデザインと、全国から回収された「リサイクルプラスチック」を素材として使用することが決まった段階でした。我々に求められたのは、「デザイン」と「素材」のあいだを繋げる製法を見つけ出すことでした。同時に、持ち運びのために表彰台を重くしすぎてはならない、さまざまな光やカメラのコンディションを検討しなければならない、短期間で必要台数を量産しなければならないなど、多岐にわたる複雑な設計要件が示されました。要件をひとつずつ解決しながら設計を進め、そのまま量産へと繋げ期限内に完成させるためには、3D プリンティングしかないと考えました。
研究室の卒業生である平本知樹君、研究員である湯浅亮平君、修士学生である江口壮哉君により世代を超えたコラボレーションが実現し、協調していくつもの問題を解決し、98 台の表彰台量産へとつなげることができたことは、研究者として、教育者として、技術者として存外の喜びです。
現在、この表彰台の大会後活用(リユース)が議論されています。本来なら廃棄されていたはずの材料を、3D プリンティングを通じて価値を高め、さらに「より長く使用されるもの」へと昇華させ再び社会に送り出すこと。私はこのプロセスを「リープサイクル」と名付けました。今後さらに、2020 年秋に発足した慶應義塾大学 KGRI「環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター」と具体的な現場・地域・プロジェクトとの連携を図りつつ、資源循環型社会・脱炭素社会への移行を促し、地球のサスティナビリティに貢献する観点から、3D プリンティングの可能性を研究し、世界へ発信していきたいと考えています。

※ この研究は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援により行われている「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の研究の一部として実施されました。

研究紹介映像~大会エンブレムから 3 次元立体レリーフ形状のデザイン導出過程~

研究紹介映像~3D プリンティングの材料改質過程・軌道設計過程・量産過程~
(研究紹介映像 音楽:荒井将来・政策・メディア研究科 田中浩也研究室M2)

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発信元:湘南藤沢事務室総務担当