MENU
ニュース
2017.12.06

ブランディングの道はSFCから | 木口恒さん(2011年環境卒業)

木口恒さん

木口恒事務所 代表
SFC研究所員

2011年環境情報学部卒業

 
「会社のデザインを全部やりたい。それしか夢はありません!」
AO入試の面接試験で、自分でデザインした架空の航空会社のTシャツを着た私は、声を裏返し叫んでいました。
一生忘れない、2006年秋の出来事です。
 
works1.jpg11年後の今、私はブランディングデザイナーという仕事をしています。
物と情報が溢れている現代社会において、会社や組織がその存在感を示すには、多くの「ファン」を抱えることが大切です。
それには、ブランドの力が欠かせません。
ブランドとは、人々が会社や組織、地域などに持つ特定のイメージのことであり、ブランディングデザインは、そのイメージを見た目から考えることです。
単に見た目を綺麗にするのではなく、組織の中身に注目しなければなりません。
「この社会に、いかにして貢献するか」という思いは、組織の大小に関わらず確かに存在します。
まずは、この思いや考え方、姿勢、社会との接し方、社風などをはっきりさせ、凝縮させた「ロゴ」をデザインします。
ロゴはその会社の成分が集まった結晶です。
これを旗印として、会社が出す物や情報に統一感を出し、イメージを社会に定着させてファンを増やしていくのです。
仕事をしていると、素晴らしい文化や技術、アイディアなのに、よく伝わっていない会社や組織はとても多いと感じます。
「もったいない会社」を一つでも減らすことを自分の使命としています。
 
works2.jpgこの道を志したのは、高校1年生の時です。
当時から架空の会社を作り、サイトを立ち上げ発表するということをしていました。
受験が近づき、美術系の大学に進学することを考えます。
しかし複雑化した現代社会では、美術だけでなく、経済や経営の視点も含めてブランディングデザインを学んだ方がより社会のためになる、と気づいたのです。
これは自由に授業を組み立て、研究を推進するSFCでしか実現できないと強く感じ、冒頭の面接を経て入学しました。
入学後は飯盛義徳研究室で、まちづくりを学びました。
日本の各地には魅力的な場所や風景、食べ物などが数多くありますが、現地の人はその魅力に気づいていません。
魅力を見つけて磨き上げ、地域の資源にし、地元の方と一緒に盛り上げるというプロセスは、まさしくデザインやブランドの力を発揮させるところでした。
時に漁船に乗って海からその地域を眺め、時に登山をして山の上から地域を俯瞰し、時にラジオで地域の魅力を話しました。
このような経験は、本当にかけがえのないものであり、今でも仕事に生かされています。
 
hisashikiguchi_portrait.jpgのサムネイル画像人は自分の力で、険しい人生という道を歩んでいかなければなりません。
しかしながら、やりたいことを明確にし、正しい努力をすれば、やがて道は開けるということをSFCは教えてくれました。
独立自尊、初志貫徹、知行合一。
この人生の指針は、SFCがデザインしてくれたのかもしれません。