SFCの同僚教員たちは私のことをいつも気難しい顔をしている人と思っている。私自身もそう思っている。基本的に私はネガティブ思考だ。先日、ある会議で挨拶せよと言われてしたのだが、「またネガティブなことから始まったと思ったよ」と昔なじみの職員さんに言われた。そんなに簡単に性格は変えられないのですよ。
しかし、なぜか英語で話すと何かが違うらしく、「君は大変ユーモアがあるね」と言われる。言われても当人はそう思っていないので当惑してしまう。たぶん、英語が下手くそで、ヘンテコな言い回しをするガイジンなんだろうと思う。そういうガイジンタレントが時々日本のテレビにも現れる。そんな感じだろう。
1月末、慶應義塾が中心的な役割を果たしているU7+ Alliance of World Universitiesというコンソーシアムの関連会議が仙台の東北大学で開かれた。学長会議の前に開かれる副学長レベルの準備会議だ。会場は秋保温泉の老舗旅館宿・佐勘。初めての温泉宿に戸惑う海外の参加者たちに温泉の入り方を教えてあげるが、多くの人は戸惑っている。「そうだよ、他人の前で裸になるんだよ。水着なんか着ちゃいけないんだよ。露天風呂では裸で外に出るんだよ。めっちゃ寒いけど風呂に入ると気持ちいいよ」というとギョッとしている。しかし、風呂から出てくると「あー、初めての経験だ。とても良かった!」と言う。
他の日本人客が浴衣を着て館内を歩き回っているのを見て参加者たちが興味を持っている。思い切って昼食の際に「みんな、今日の夕飯の時には浴衣を着てこよう。着方が分からない人は教えるよ。体格が大きい人には3Lサイズもあるから!」と呼びかけると、みんなニコニコしながら「良いね!」と言ってくれた。
ところがその後の休憩時間の際、東北大学のスタッフから「本気で浴衣じゃないですよね」と聞かれた。「えっ、本気ですよ。私は着ていきますよ」と言うと、唖然としている。「分かりました。東北大学のスタッフ全員に着てくるように連絡します!」とのこと。東北大学の皆さんはまじめな方が多く、私が冗談で言っていると思っていて、皆さん浴衣を着てくるつもりがなかったとのこと。連絡を受けた東北大学の皆さんが「ええ?」と反応していたそうだ。
はたして、2人を除いて全員が浴衣を着て夕食会に来てくれた。そのうち1人は慌てて部屋に戻って着替えてきてくれた。もう1人はその場で羽織だけ着て記念写真に収まってくれた。「リラックスできて良いねえ。気に入ったよ」と言ってくれる。給仕してくれた旅館の女性スタッフを見て、「あの人たちはなぜバックパックを背負っているの?」と聞かれた。「バックパック?」と思ったが女性の着物の帯のことだった。
かくして和やかに夕食会は終わり、翌朝、新幹線に飛び乗って来てくれた伊藤塾長も議論に加わった。
2日間、私はまじめな顔をして一所懸命司会をしていただけなのだが、またもや「お前はおもしろいねえ」と言って帰る人が多く、困惑してしまう。ともあれ、会議はうまくいったのでよしとしよう。準備と運営に尽力してくださった東北大学の植木俊哉理事・副学長とスタッフの皆さん、慶應のグローバル本部の皆さん、ありがとうございました。

