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2026.02.24

キャンパスから帰れなくなったらどうしますか|環境情報学部長 一ノ瀬 友博

大学は一般選抜入試を終えたばかりだが、学生たちは2月初旬からすでに春休みに入っている。これまでも「特別研究プロジェクト」について紹介してきたが、この春休み、私は二つのプロジェクトを開講しており、そのうちの一つを紹介したい。「特別研究プロジェクトB(SFC災害対応プロジェクト)」である。本プロジェクトは私だけでなく、大木聖子准教授、松川昌平准教授、和田直樹准教授の4名で横断的に担当している。

昨年12月の「おかしら日記」で大木准教授が報告した通り、湘南藤沢メディアセンターでは首都直下地震を想定した防災訓練が実施された。大学には様々な災害に備える義務がある。私もその訓練に参加し、現場を確認したのち本部に待機したが、訓練と分かっていても続々と上がる負傷者や被害の報告に、思わず鼓動が速くなるのを感じた。

今回の特別研究プロジェクトでは、通常の授業期間中に地震が発生することを想定した訓練を行う。特徴的なのは、初動対応のみならず、交通機関の麻痺によって帰宅困難となった設定で、実際に一晩キャンパスで過ごす点にある。2011年3月11日の東日本大震災では、多くの学生や教職員が帰宅できず、やむを得ずSFCで一夜を明かすこととなった。なお、SFCの体育館は藤沢市の指定緊急避難場所・指定避難所となっているが、これは地域住民のためのものであり、学生たちのために用意されているわけではない。

震災以降、慶應義塾大学は帰宅困難を想定し、2泊3日分の食料、簡易トイレ、飲料水などを各キャンパスに備蓄している。しかし、SFCではこれらを実際に活用した訓練はこれまで行われてこなかった。今回のプロジェクトでは、備蓄品そのものを使用することはできないが、同等の物資を用意し、学生たちと教室での「残留(帰宅せずに一晩過ごすこと)」を経験する。

SFCでは災害時、非常電源を稼働させて最低限の電力を供給し、井戸水を汲み上げることができる。訓練では、こうした防災施設の見学や、傷病者の担架運搬など、普段はできない実戦的な経験を積む予定である。今回は履修者以外の参加者も含め40〜50名規模での実施だが、実際の授業期間中に発災すれば、さらに多くの学生・教職員がキャンパスで被災することになる。そのような不測の事態に備え、今回の試みを通じて、まだ見ぬ課題をあぶり出したい。

一ノ瀬 友博 環境情報学部長/教授 教員プロフィール