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2026.02.03

SFCのデータサイエンス科目|政策・メディア研究科委員長補佐 宮本 佳明

「おかしら日記」に寄稿することになるとは思ってもみなかったため、お話をいただいた際には何を書けばよいか少し悩んだ。しかし先輩方のアーカイブを拝見すると、データサイエンス科目(DS科目)についての紹介はあまり見受けられなかった。そこで、せっかくの機会なので、SFCでデータサイエンスに携わる教員の一人として、その特徴を紹介できればと思う。

現在SFCでは、数学に関わる科目としてデータサイエンス科目が体系的に用意されている。基礎的な内容を扱う4つのDS1科目(線形代数、微分・積分、確率、統計基礎)と、それらの知識を各分野で応用するDS2科目から構成されている。DS1科目は各科目が日本語・英語の両方で開講されている点も特徴である。他大学や他キャンパスと比べてSFCの数学科目がユニークなのは、担当教員のバックグラウンドが非常に多様である点にある。数学を専門とする教員はもちろん、私のように周辺分野を専門とする教員も多く関わっている。DS1科目では授業内容や講義資料はある程度統一されているものの、授業の雰囲気や雑談の内容などは担当教員ごとに異なり、まさに十人十色と言えるだろう。

ちなみに、データサイエンス科目はSFCでは「必修科目」として位置づけられている。学生が自身の興味に応じて自由に科目を履修していくSFCにおいて、必修科目は言語や体育、情報などに限られており、この点からもSFCがデータサイエンス科目を重視していることがうかがえる。確かに、数学の諸科目が直ちに社会に役立つ研究に結びつくとは限らない。しかし、数学の基本的な素養は、SFCで扱われる多様な研究分野に限らず、広く多くの分野において重要な基盤となるものであり、SFCの学生が身につけておくべき基礎理解として位置づけられている。

こうしたデータサイエンス科目について議論を行うデータサイエンス教育協議会にも、実に多様な背景を持つ教員が集まっている。数学に加え、コンピュータサイエンス、脳科学、生物学、経済学、地球・宇宙科学など、専門分野はさまざまである。背景が異なるからこそ、議論の中で耳にする話題も新鮮で、刺激的である。数学を専門としない教員が数学科目を担当するという点自体が珍しく、各教員の専門性に応じて、授業の進め方や強調点に違いが生まれているのではないかと感じている。こうした点も、SFCらしさの一つだと思う。

近年はAIの発展が目覚ましい。生成AIを含む多くのAI技術は数理科学を基盤としており、線形代数や微分・積分、さらには確率や統計の知識が不可欠である。今後、何らかの形でAIを利用することは当たり前になっていくだろう。その際、すべての仕組みを完全に理解することは難しいかもしれないが、どのような原理で動いているのかを大まかに把握しておくことは、AIの限界や弱点を理解するうえで重要である。AIは一例に過ぎないが、こうした背景を踏まえると、データサイエンス科目の重要性は今後も揺るがず、SFCにおいて必修科目として位置づけられ続けるだろう。SFCで学んだ学生の強みとなるよう、教員の一人として貢献していきたい。

宮本 佳明 政策・メディア研究科委員長補佐/准教授 教員プロフィール