MENU
Magazine
2026.01.27

インドのビザが大変だった|常任理事/政策・メディア研究科教授 土屋 大洋

インドのハイデラバードで開かれた日印の大学連携の会議に行って来た。インド訪問はたぶん4回目だが、今までは全部デリーだった。今回は初めての別の都市だ。

しかし、毎度のことながらインドのビザ取得は難しい。かつては紙の用紙を埋めて東京のインド大使館にパスポートを持っていった気がする。今はオンラインだ。これがとても難しい!!! 私の理解が足りないらしく、求められる情報を入力しても何度もエラーが起こる。エラーでページが戻ると、前に入力した項目が勝手に書き換えられており、また入れ直し。でもまたエラー。その繰り返しが延々と続く。少しずつ入力する内容を工夫しているのだが、何が悪いのか分からない。

私はついにあきらめて、大学の業務の一環ということで秘書のIさんに代理入力をお願いした。私がアホで、Iさんならすんなりできるのではと期待していた。しかし、Iさんも苦戦し、数時間を要してようやく受領のメールが私のメールボックスに届いた。本当に申し訳ない。

同行するNさんは、多少手こずったものの、私よりスムーズに切り抜けたようだ。私が困ったのは前回取得のビザの番号の入力だったが、これが何度入れても通らない。初めてインドを訪問するNさんはこれがないので比較的スムーズだったのだろう。

しかし、まだ罠があった。シンガポールで乗り換え、ハイデラバード空港に着き、入国審査に臨んだ。無事にビザはとれているはずだった。しかし、紙を出せという。メールを印刷した紙を見せた。ところが、それでは足りないという。えっ、とパニックになりながら、持参したクリアファイルをめくると、秘書のIさんが別の紙を印刷しておいてくれた。それがどうやら必要そうだった。後でIさんに聞くと、必要だと思わなかったが、念のため印刷して入れておいてくれたそうだ。さすがIさん!

ふと横を見るとNさんも同じ問題に直面していた。ところが、Nさんはその書類を印刷していなかった。そもそもそんな書類があることも認識していないようだった。このままだとNさんは入国できない。私も急遽、入国審査のブースから離れて戻り、Nさんとどうするか相談した。近くにいた係官に事情を説明すると、あちらのオフィスに行けという。

オフィスに入ると、何やらもめている。別の旅行客が係官と言い合いをしている。内容は分からないが、どうやら同じようなトラブルのような感じがする。Nさんはここで日本から持参したWi-Fiのルータを取り出し、ラップトップをいじり始めた。オンラインのビザのシステムに戻り、書類を探し始めたのだ。数分後、Nさんはそれを見つけ出した。さてそれからどうするか。なんとNさんはラップトップのスクリーンにその書類を表示させ、入国審査官に立ち向かい、堂々と質問に答えて入国を果たした。ホテルに着く前にぐったり疲れてしまった。

翌日から会議が始まり、日印の大学連携の話を重ね、一息付いたところで、司会者が「日印の学生交流を妨げている事柄は何か」と問いかけた。他の人が手を挙げないのを見計らい、私は「インドのビザ・システムだ」と言った。司会者は何のことだと怪訝な顔をしている。「インドのビザ取得はひどく面倒くさい。せっかくオンラインで申請しても入国審査で紙を見せろという。何のためのDXか分からない」と指摘した。その場にいた日本人の参加者たちも、声には出さないがうなずいている。

しかし、日本のビザ・システムはどうなのだろう。私が日本に入国するときは、ビジット・ジャパン・ウェブのQRコードの取得がちょっと煩わしい。前回入国時の情報を多少引き継げるものの、いちいち入力してQRコードを取得して機械にかざさないといけない(しかし、紙での税関申告もまだ可能ではある)。日本入国ビザが必要な人はきっと日本行きの飛行機に乗る前にもっといろいろしているのだろう。十分に便利なのだろうか。

入国は大変だったが、日印の会議の間に、インド工科大学(IIT)の一角であるIITハイデラバードとの協定に合意できた。IITに落ちたらMIT(マサチューセッツ工科大学)に行くというインドの名門のひとつだ。帰国後にそれぞれ協定に署名を終えて発効した。

交渉を手伝ってくれた総合政策学部のラジブ・ショウ先生、法学部のマリー・ラール先生、そして苦労して一緒に来てくれたNさんに感謝である。近い将来、研究者交流が始まり、学生交換が始まる頃には日印ともにもっと入国がスムーズになっていて欲しい。

帰国の前日、交渉の成功を祝って、みんなでちょっと高級なインド料理を食べに行った。ショウ先生が料理を注文してくれた。「あまり辛くしないように頼んでおきましたから」とショウ先生。しかし、激辛だった。「おかしいですねえ、頼んだんですけどねえ」と笑うショウ先生。Nさんと私は辛さに涙を流し、汗をかきながらいただいた。

土屋 大洋 常任理事/政策・メディア研究科 教授 教員プロフィール