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2022.03.29

キャンパスを「つくる」|湘南藤沢キャンパス事務長 廣田 とし子

3年前のできごとである。健康増進法が一部改正され、2019年7月1日より、大学等の施設では受動喫煙防止措置が厳しく求められることになった。具体的には受動喫煙防止措置がとられた屋外の場所(特定屋外喫煙場所)でしか喫煙できなくなる。つまり、当時あった喫煙場所を一旦すべて撤去して、特定屋外喫煙場所を設置しなければならなくなったのである。

このことに気づいたのは迂闊なことに2019年の新年度が始まって間もなくのこと(と記憶している。)だった。「まずい、あと3か月しかない...」至急、管財担当と相談して案を策定してもらった。キャンパス内の人流を逸れた場所に2か所、設置業者にもあたりをつけた。あとは会議体で承認をとって、工事を実施すれば期日に間に合うと安堵。ところが、である。会議で提案したところ、「出来合いの喫煙所じゃ面白くないよね」「キャンパス内の喫煙者ってどこにどれだけいるんだろう...」「意外と散在しているからこの位置だと不公平じゃないかなあ」「自動運転の車に喫煙所を載せて、メビウスリングをぐるぐる回したらどうだろう...」といろいろ話が盛り上がった挙句、「では、私につくらせてください。」「それ、いいんじゃない。」ということになった。(と記憶している。)えええ、つくるのか?正直、困惑した。

建築系の先生が図面を引き、学生と一緒につくっていく。授業期間中は学生も忙しく、なかなかはかどらない。それでもSNSで協力者を募ったりして少しずつ少しずつ形がみえていく。何人もの教員と学生が汗をかきかき、皆で楽しそうに作業をしていた。私も現場を巡回するのが楽しみになった。最終的に出来上がったのは半年くらいたった頃だったろうか。完成したのは素敵な「森の喫煙所」。もともとあった森の木をそのまま生かした巨大なジャングルジムのような喫煙所である。(結局、完成は7月1日には間に合わなかったのだが、相談の上、管財がキャンパスの反対側に先に設置していた「出来合いの喫煙所」で遵法は保てた。)

SFCではキャンパスは皆でつくるものという意識が強い。多くの教員がキャンパスの運営を「自分事」としてとらえているのだ。コロナ禍では、その本領が発揮された。コロナ禍が始まり、授業のオンライン化が決まった際、情報系の先生方はいち早くWebExの利用マニュアルを作り、非常勤講師も含めた他の先生方に対して講習会をしてくれた。医療者の資格を持った先生方は専門家の見地から感染防止ルールの策定にかかわってくれた。コロナ禍が緩和し、学生がキャンパスに戻るにあたっては、各教室のCO2濃度の測定とその見える化を実施してくれた先生方がいた

SFCで3年と5か月。一緒にキャンパスを「つくる」という大変貴重な経験をさせていただきました。4月から三田キャンパスに異動することになりましたが、SFCのさらなる進化を今後も楽しみにしています。お世話になった皆さま、ありがとうございました!