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2022.03.22

塾監局|常任理事/政策・メディア研究科教授 土屋 大洋

最近、肩書きを聞かれると説明するのが面倒くさい。「慶應義塾常任理事」と聞いて何者だかすぐに分かる人はほとんどいない。塾生でも塾員でも、接することがほとんどないのではないだろうか。まして慶應義塾とまったく関わりがない人にとっては、「『大学』は付かないんですか」とか、「常任理事っていうのはたまに会議があるぐらい(の閑職)ですか」と聞かれる。「学部長」のほうがはるかに分かりやすかった。

常任理事になって一番変わるのは、職員と仕事をする機会が圧倒的に多くなることだ。教員であれば、学事担当や総務担当の教員とやりとりする機会が必ずあるが、学部長は職員といろいろ相談することが増える。それでも、教員と会議をする機会のほうが多い。しかし、常任理事になるとその割合が逆転して、職員と会議をすることが大半になる。

常任理事になって最初に聞かされたのが、「學校に於ては教授職員とは車の兩輪である。その何れをも缼(か)く可からざるはいふまでもなく、その何れにも輕重があってはならぬ」という言葉だ。これは小泉信三塾長の言葉で『塾監局小史』(1960年)の巻頭言に記載されている。

ちなみに『塾監局小史II』は1987年、『塾監局小史III』は2018年に出ている。それぞれ分厚くて読み通すのは困難だが、目次だけ見ていてもおもしろい。1990年に開設されたSFCのことが出てくるのは『塾監局小史III』になってからだ。『塾監局紀要--研究・調査・情報--』という雑誌も1974年から発行されていて、職員の皆さんが興味深いテーマで論考を書いている。

今の塾監局長は、SFCと縁の深い高野仁さんだ。若い頃にSFCにいらした後、再び戻っていらしてSFCの総務課長やキャンパス事務長を務められた。その頃にはこの「おかしら日記」も書いておられた。昨年5月以降、私が塾監局に来るようになってから、気心知れた高野さんにアドバイスをいただくことができたのは幸運だった。その高野さんが局長をこの3月末で退任されることになった。感謝の気持ちでいっぱいである。高野さん、長い間、ありがとうございました!

そして、高野さんの後任として塾監局長に4月から就任されるのは、現在のSFCのキャンパス事務長、廣田とし子さんだ。慶應義塾初の女性塾監局長の誕生である。しかし、廣田さんが選ばれたのは女性だからではない。義塾に関する深い理解とバランスの良さ、そして芯の強さではないかと勝手に推測している。廣田さん、期待しております!

追伸:高野さんは参与としてまだまだ義塾に貢献してくださいます。ご退職ではありません。

土屋大洋 常任理事/政策・メディア研究科 教授 教員プロフィール