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2018.05.23

「最近どう?」「会社つくった!」 | 正能茉優さん(2014年総合卒業)

正能茉優

ハピキラFACTORY 代表取締役社長
ソニー株式会社新商品企画担当
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教

総合政策学部2014年卒業

私は、小学校6年生の頃から高校卒業までの7年間、読売新聞社の「こども記者」として活動していました。その活動の中で感じたのは、新聞は人になにかを"伝える"ことができること。そして、私自身はその"伝える"ことの先にあるであろう、人を"動かす"ということにチャレンジしてみたいということでした。人を動かす何かを始めようと思ったとき、共に頑張れる仲間が欲しい。そして最強のチームを作るために、自分と異なる得意分野を持つ同世代たちに出会いたい。そう考えて、SFCに進学しました。

SFCはデザイン、コピーライティング、マーケティング、それに歌や囲碁まで、とにかくなんでも学べる場所。「バイトなにする?」と同じくらいの気軽さで「会社つくる?」という選択肢が語られる環境なので、在学中に「ハピキラFACTORY」を創業するときにも変な気負いはありませんでした。

その一つの要因は、学食やバス停ですれ違った友人たちと交わす「最近どう?」というSFC流挨拶にあったように思います。自分の知らない領域で頑張る仲間たちの関心事を知るのが刺激的で、新しい分野に興味を持つきっかけにもなりました。「最近どう?」と聞くと、「会社つくった!」と答える人もSFCでは珍しくありません。

そんな環境の中、自然とつくることになったハピキラFACTORY。ハピキラという社名は、「ハッピーでキラキラ」という言葉を省略したものです。中学生の時に書いていたブログのタイトルから取りました。(笑)

ハピキラでは、自分は好きなことをしているだけなのに、結果として誰かを幸せにできる「いつのまにかヒーロー」になりたい、そしてハピキラな世の中になったらいいなという思いで、地方の課題に取り組んでいます。

今の私は、ソニーという会社で商品企画の仕事をしながら、ハピキラの社長もする「パラレルキャリア」という働き方をする毎日です。

私がこの働き方を始めたのは、自分の目指す生き様を実現するため。24時間仕事をして、それ以外のことは定年後に楽しもうというバブル世代の考え方とは異なり、私たちミレニアル世代の多くは、仕事も、友だちも、家族も、趣味も諦めたくありません。それぞれの要素は70点でもいいから、人生全体で120点を目指しているのです。すると当然、仕事に費やせる時間は今社会で活躍している大人に比べて、相対的に短くなります。だからこそ、「自分の1時間あたりの価値」を最大化しなければいけないと考え、「社員でありながら社長」というオンリーワンな働き方を始めました。

そんな思いで新卒で就職した広告代理店では2年半ほどプラナーとして働き、その後2016年10月ソニーに転職。2018年1月からはソニーモバイルで「新しいコミュニケーションを生み出すプロダクト」に携わっています。

ハピキラでも、ソニーでも、「まだみんなは気づいてないけれど、自分は素敵だなと思える物事を、コンセプト化して、しかるべきターゲットに伝えて、世の中をちょっぴりハッピーにすることが私の仕事です。これが、今の私の好きなこと。

最近は、それに加え、「AKBから、秋元康になること」にも興味があります(笑)。自分が目立って活動するだけでなく、若い仲間をたくさん育てられる人間になって、世の中を本当の意味でハッピーにしたいと考えています。

幸せの定義は自分で決める

やってみたいと思ったことは、やって、初めて意味があります。そんなやってみたいことをリスクが少ない学生のうちに、当たり前のようにやってみることができるのがSFCの素晴らしさ。今思えば、世の中の常識を知らない若さが、かえって精神的なハードルを下げてくれました。得意分野の異なる仲間とも出会えたことで、次々に新しいプロジェクトを世に生み出せたのも、SFCに入ってよかったことの一つです。

どんなに小さくても自分の好きなことをやって、その活動を実際に世の中に出して「仕事」とするところまで体験できるのがSFCのすごいところ。

私は自分の仕事観を「ビュッフェキャリア」という言葉で表現しているのですが、人の幸せって、ホテルのビュッフェのように、好きなことを、好きなバランスで、好きなだけやることだと思うんです。カレーもパスタも食べたいなら、両方を楽しむのが自然な選択。大企業に所属しながら、ベンチャー企業の社長をするのも同じことです。働き方や生き方も、そんなふうに考えていいと思っています。

自分が幸せになるには、「幸せ」の定義を自分で考えて、それを自分の力で実現するのが近道。だれかが決めた「幸せ」を目指す必要はありません。これからSFCに入学される方は、ジャンルにとらわれることなく多くのことを学び、そこで得た多角的な目線で、自分なりの幸せの定義を見つけてください。そしてSFCの最高の仲間たちといっしょに、ぜひ自分の手でその幸せを一緒に実現していってください。