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2018.05.23

実体験を活かして小児医療に貢献 | 北野華子さん(2010年環境卒業)

北野華子

特定非営利活動法人 Being ALIVE Japan 理事長
米国認定 チャイルド・ライフ・スペシャリスト
米国認定 セラピューテック・レクレエーション・スペシャリスト
環境情報学部 講師(非常勤)

環境情報学部2010年卒業

自分自身がこどもの頃に長期療養生活を送ったことから、将来は小児医療に貢献したいという強い思いがありました。高校時代にSFCのオープンキャンパスを訪ね、「10年以上先の未来を作る大学」というメッセージに感銘を受けました。今日と明日のことしか見えなかった自分にとって、10年先や20年先を考えているという視点が刺激的だったのです。研究会やプロジェクトの紹介にも触れ、学生のプレゼンテーション能力や社会貢献への意欲にも憧れを持ちました。

パブリックヘルスの分野を学ぼうと思ったきっかけは、武林亨先生による公衆衛生の授業。秋山美紀先生の研究会にも所属して学びを深めました。大学時代から、米国認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の資格に強い関心を持っていました。卒論のテーマは、子供の年齢と発達に合わせた病気や治療の説明アプローチ。SFC在学中にNPO関連の授業も履修して、研究会では海外フィールドワークの助成金も得てアメリカの小児科医やCLSを訪ね歩きました。現場で仕事を手伝った経験が、その後のキャリアでも大きく役立っています。

2010年にSFCを卒業後、京都大学大学院医学研究科に進学してパブリックヘルスを学び、再びSFC研究所員としてSFCに戻ってきました。そして2013年秋より米国スプリングフィールド大学院で学び、米国認定チャイルド・ライフ・スペシャリストと米国認定セラピューティック・レクレーション・スペシャリストの資格を取得しました。

帰国後、2015年秋からは埼玉県立小児医療センターの認定チャイルド・ライフ・スペシャリストとして勤務し、2017年に現職NPO法人Being ALIVE Japanの理事長に就任しました。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の非常勤講師として、秋山美紀先生と「ヘルスコミュニケーション」の授業を担当しています。

SFCは海外大学院への土台づくりに最適の環境

CLSの資格保持者は、現在日本に40人ほど。その多くが医療現場で働いています。たくさんの医療者がいる病院では患者も守られていますが、退院して社会生活に戻る過程での支援に課題があります。 スポーツを通じて、長期療養児の復学や社会参加の支援に力を入れています。

病院の中でもオリンピックやパラリンピックが楽しめる機会をと考え、入院治療中のスポーツ・レクレーションプログラムを提供しています。またプロスポーツと長期治療を必要とする お子さんもマッチングしながら、家族、医療者、メディアをつないで こどもたちを応援する人の輪を社会に広げることに取り組んでいます。

SFCはひとつの専門分野を追求しながら、同時に多角的な学びも得られる場所。ヘルスコミュニケーションを基軸に情報学なども幅広く学び、同じSFCにある看護医療学部で小児医療の専門知識も体得しました。組み合わせの自由度が高く、自分にぴったりの学びを設計できたことが現在の仕事でも活かされています。

ひとつの問題に、多様な副次的問題が関わってくる現代。SFCは幅広い視野に立った思考が育てられる場所です。CLSは多職種との連携が大切になるため、グループワークの多いSFCでの学際的な学びも役立ちました。 CLSのような海外の大学院でしか取得できない資格を目指す前に、国内でしっかり基礎を作る場所としてもお勧めできます。

振り返ってみると、私は10年前に自分が思い描いた夢を実現することができました。2020年の東京オリンピックなど、さらに大きな目標を見据え、次世代にも活動をつなげていきたいと考えています。