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Magazine
2006.05.31

大地の声や息吹

SFCスピリッツ

大地の声や息吹

田中章義さん
歌人・国連WAFUNIF親善大使
1994年総合政策学部卒業

SFCに通い始めた大学1年生のときに第36回角川短歌賞を受賞して以来、世界各地を訪問しながら、『地球の歌枕』を探し続けてきた。今から300年以上前、松尾芭蕉が日本じゅうを巡って「奥の細道」を編んだように、21世紀の今、『地球版・奥の細道』を構築してみたくなったのだった。以後、紀行文や世界で出会った人たちのルポルタージュ、絵本なども書きながら、世界各地を巡り続けてきた。途中、自然環境が世界規模であまりにも破壊されていること、両親すら殺されてしまっているこどもたちがこの星にあまりにも多いことを知り、自分のためだけに短歌をつくることをやめた。一期一会のこどもたち、動植物の思いにできるかぎり焦点を当てようと、心のレンズを常に大地に向け続けてきた。短歌が英訳されて、国連の機関から親善大使を、と言われたり、思いがけない展開も増えたけれど、モットーはいつも“自然の声や言葉に耳をかたむけること”だと思っている。世代も越えて、大地とともに歩もうとしているかたがたと出会うことができたら、と思う。

寺、教会、モスクの形は変われども捧げる炎の色は変わらず 田中章義

→地球のたからもの/田中章義ウェブサイト

(掲載日:2006/05/31)