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2011.12.15

僕と残留日本兵の7年

SFCスピリッツ

僕と残留日本兵の7年

林 英一さん
日本学術振興会特別研究員・マスダ教育財団評議員
2007年総合政策学部卒業

それは今から7年半前の夏の出来事でした。
当時総合政策学部2年生だった僕は、マレー・インドネシア語の海外研修に参加し、インドネシア共和国東ジャワ州マラン市を訪れました。

日本の終戦記念日を翌日に控えた8月14日に訪れた村での85歳の老人との出会いが、その後の僕の進路を決定づけました。その方は、敗戦後もインドネシアの独立戦争に身を投じた残留元日本兵の生き残りだったのです。以来、僕はインドネシア残留日本兵の歴史についての研究に取り組んできました。気づけば7年のうち3年をインドネシアで過ごしたことになります。

とりわけ、学部時代の最後の半年間を現地での調査に費やすことができたのは、ひとえにSFC・マスダ教育財団「第1回海外フィールドワーク奨学金」の助成によるもので、マスダ教育財団創始者の枡田政治会長、故・小島朋之理事長はじめ多くの方々の支えのお蔭です。また、卒業制作の出版に際しては小熊英二先生から多大なご指導とご鞭撻を賜りました。この場を借りて御礼申し上げます。

なお、もしも僕の研究にご関心をもっていただいた方がみえられましたらば、下記の拙著を手に取っていただけるとうれしく存じ上げます。とくに『皇軍兵士とインドネシア独立戦争』(吉川弘文館)はこの12月に刊行されたばかりのできたてほやほやの作品で、小熊先生から推薦文を賜りました。

『残留日本兵の真実』(作品社、2007年)
『東部ジャワの日本人部隊』(作品社、2009年)
『インドネシア残留日本兵の社会史』(龍溪書舎、2010年、編著)
Mereka yang terlupakan(Penerbit Ombak、2011年、インドネシア語)
『皇軍兵士とインドネシア独立戦争』(吉川弘文館、2011年)

林英一さん
「皇軍兵士とインドネシア独立戦争」書影

(掲載日:2011/12/15)