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2012.05.02

聴覚障がい者の夢をITビジネスで実現する!

大木洵人さん
シュアールグループ 代表
2011年環境情報学部卒業大木洵人さん

SFCのオープンキャンパスに来るまで大学受験に真剣に向き合っていなかった私が、今ではSFCで学んだ「ビジネス」と「手話」で事業を起こしています。

中学二年生からSFCの受験を志す高校三年生までの六年間を戦場ジャーナリストになるために費やしてきました。一枚の戦場写真に魅せられ、「この人のように闇に葬り去れていたであろう事実を世に知ら示すような仕事がしたい」と思い戦場カメラマンになる事を決意し、写真を始めました。高校では自ら写真部を創設し部長に就任し、高校3年時にはジャーナリズムと英語を学びに1年間アメリカに留学しました。しかし、アメリカから帰国後に行われた国内の大きな大会での敗北により、少し写真との距離を取り、大学受験に真剣に向き合うことにしました。
色々な大学のオープンキャンパスに行くも魅了される大学に出会えず、しかし受験は刻一刻と迫っており、焦りばかりが積もる悶々とした日々を過ごしていました。そんな高校三年生の8月20日、SFCのオープンキャンパスに友人の誘いで行きました。それはまさに直感としか言いようがありませんでしたが、SFCに通っている自分のイメージが明確に湧きました。それが私とSFCの出会いでした。そして、その日からSFCに入るために真剣に受験勉強を始めました。

無事に受験を乗り切りSFCに入った私は視野を広げるために、様々な分野の授業を手当たり次第取りました。バイオ、朝鮮語、外交、交通工学など...。専攻にとらわれずに授業が取れるのはSFCの素晴らしい特徴ですね。その中で、一番自分の中で面白いと感じたのがビジネスの授業でした。そのため、一年生の秋学期からビジネスにシフトした科目を取る事にしました。同時に始めたのが手話でした。昔から手話には興味はあったのですが始める機会がなかったので、一年生の10月にSFC唯一の手話サークルとしてI'm 手話を設立し代表に就任しました。

その後は、まさにSFCという環境をフル活用しました。SFCの先輩の一青窈さんにお誘いを頂き、I'm 手話として紅白歌合戦のバック手話コーラスの制作・指導・出演をさせて頂きました。その経験と実績を基に、学生団体手話ネット(現・リンクサイン)を二年生の5月に立ち上げ、SFC政策研究支援機構研究助成、教育奨励基金「学習・研究奨励金」、シンポジウム・研究ネットワーク・ミーティング基金から助成を得て活動を始めました。更に、手話に関するビジネスプランを國領二郎教授(当時)と飯盛義徳准教授の授業課題として考えました。その二つのビジネスプランが遠隔手話通訳とSLinto(クラウド型手話辞典)です。この二つのビジネスプランを実行に移し、聴覚障がい者に向けたより良いサービスを実現するために、二年生の11月に学生団体を吸収する形で起業したのが「シュアールグループ」です。起業当初から今までSFCのインキュベーション施設SFC-IV内に事務所を構えています。この時に学生団体として取り組んでいたのは手話による娯楽映像制作でしたが、シュアール設立と同時にシュアールに引き継がれ、2010年にグッドデザイン賞を受賞しました。二つのビジネスプランは、特許出願やビジネスコンテスト優勝などに繋がり、現在でもシュアールの二大事業です。そして、これまでの実績と将来性を評価して頂き、2012年には世界的なソーシャルアントレプレナーのネットワーク:アショカより東アジア初のフェローとして選定されました。

SFCの授業で学んだビジネス、SFCという環境を生かして活動した手話、どちらもSFCに来なければ私にとっては身近なものとはならなかったと思います。SFCで学んだ事を少しでも多く社会に還元できるよう、今後も日々頑張っていこうと思います。

シュアールグループ http://shur.jp
I'm 手話     http://imshuwa.com
大木洵人ブログ http://ameblo.jp/shur-ohki/

(掲載日:2012/05/02)


手話の世界をITで広げていく。SFCだから実現できたビジネスです。

「技術を聴覚障がい者のために ~Tech for the Deaf~」をスローガンに、ITを活用した手話ビジネスを展開しているシュアールグループの代表を務めています。中学生で手話を見て感動し、SFCでの手話サークルの創設や、手話のPodcastの制作を通して聴覚障がい者を取り巻く様々な問題を実感。

2年次には手話に関わるサービスを扱う当社を立ち上げ、昨年で創業5周年を迎えました。SFCで学んだことは数知れず、全てがビジネスにつながっています。例えば、私たちの4つある基幹サービスのうち、テレビ電話を介した「遠隔手話通訳」とクラウド型オンライン手話辞典の「スリント辞書」はSFCの授業で考えた最終課題がベースです。実社会の問題研究を行っているSFCだからこそできるのだと思います。

また先生との距離も近く、悩んだときには相談にのってくださいました。この事業を立ち上げる際には、國領先生から「これはインフラになるビジネスだから、途中で辞めては絶対ダメだ。本当にやりきる覚悟はあるのか」という熱いメッセージをいただきました。こうやって会社を続けられたのも、あの言葉のおかげだと思っています。

「耳が聞こえない」がために、夢や目標を諦めることのない社会にするために、今後は日本から新たなサービスを世界に発信し続けていきます。

(ウェブページ「卒業後のキャリア」掲載)