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2004.05.21

「問題発見、問題解決」のgood practice|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

毎年5月には森泰吉郎記念研究振興基金の審査会がある。他大学院と違い、修士および後期博士課程の学生たちが研究者育成費や国外学会発表経費補助を申請できる制度である。今年度は、過去最大の申請件数となり、この制度が十分に定着してきたという感がある。審査は、大変であるが、沢山の申請書がでてくるのはまさにうれしい悲鳴である。修士時代から研究計画書をきちんと書き、自分なりに予算を立てる練習は、まさに、SFCの理念である「問題発見、問題解決」のgood practiceを支える良い仕掛けの1つである。

今回は、博士課程28件、修士課程131件が採択された。本来であれば、学会での論文査読結果と同様に、採択されなかった人に対して、研究計画書の不備やうまく表現されていない点など指摘したメモぐらいを渡したいところである。修士の人たちの申請は170件を超えており、審査委員の処理能力をはるかに超えている。ぜひ、研究指導されている主査や副査の先生からコメントをしていただけると幸いである。

もう1つのユニークな点は、成果報告書をweb上に公開していることである。1997年度からの報告書がアーカイブされている。オーソドックスなテキストメディアでの報告書だけでなく、web版はもうすこしユニークな報告書が作成されてもいいかもしれない。

昨日18日、前回ふれた本番の21世紀COEプログラムの中間成果審査会のヒヤリングが行われた。10分間の発表と15分間の質疑応答であった。審査委員の方々からは概ね好意的な質問が多かったが、「COE予算がそちらの拠点プロジェクトの何%ぐらいを貢献していますか?」という質問には参ってしまった。実質、RAなどの予算は100%COE予算に頼っているものの、一部のプロジェクト用研究機材などはカバーされていないものも多い。とはいえCOEの貢献は、財政的な支援だけでなく、これまでにもましてSFCでの研究コラボレーションをより確かなものにしていく仕掛けができたことであろう。

(掲載日:2004/05/21)

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