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2004.04.04

さむい、あったかい|熊坂賢次(環境情報学部長)

3月23日、学部卒業式。めちゃくちゃ、寒い。咲きかけた桜もちょっと待っただろう。しかし人は機械のようにきちんと日程を守る。壇上で震えた。携帯カイロはがんばった。塾長の贈る言葉にあった誇りと勇気と語力は卒業生に届いたのだろうか。寒さはすべてを拒むほど強力だった。式後のSFC生を集めた学位記授与の前にした僕の話も、ついさむいものになってしまった。ごめん。わるいのは寒さだ。救いは晴れ着の華やかさだった。ありがとう。園遊会では、彼女たちも、きっと舞ったことだろう。

3月29日、大学院卒業式。快晴、あったかく気分がいい。三田はもう桜が満開。たかが1週間の違いなのに。きりりとした院生たちのスーツ姿に、なぜかみんなが優れものにみえた。がんばってほしい。明日からの社会は、苦いかも、甘いかも。10年後はどうなっているのか、楽しみ、やや不安。本当は、桜が散ったあとの青葉こそ、美しいのだ。

4月2日、一足先にSFCでガイダンス。朝キャンパスに向かうときは、晴れなのに雨だった。寒いようであったかく、暖かいようでさむかった。θ館で話をした。今年の新入生は静かでまじめだ。今日が慶應生としてのデビューだからなんだろう。明日からは、騒がしく賑やかに走り回ることだろう。かれらも、やっと冬眠から覚めて、青春をゲットできる。まあ、たのしんでくれ。

4月3日、日吉で晴れ晴れの入学式。これで、新入生も慶應義塾の一員になった。挨拶にたった村井さんの話は、あつく、心に沁みた。やはりあの顔とお腹ならば、6000人を熱くつつみこむことができるのだろう。ミスターインターネットの説く半学半教の福澤精神は慶應義塾社中を、なかでもSFCのみんなを熱くさせる。SFCはこうじゃなくちゃ、いけない。あつい話だ、もう夏も近いぞ、と錯覚。せっかち。

こうして、SFC15年目の春がきた。ざわめく、うごめく、はしりだす。

4日、いま、この日記を書いている。

大学日韓戦、寒い。日本、ロスタイムで劇的ゴール。やっと、あったかくなった。

(掲載日:2004/04/04)

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