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2005.03.03

卒業、おめでとう|小島朋之(総合政策学部長)

3月23日が学部卒業式、29日が大学院学位授与式で、SFCの学部生と大学院生が巣立っていく。日吉の記念館で挙行される学部の卒業式には、卒業25周年の先輩たちも招待されて2階座席を埋め尽くす。毎年、1000人近くの先輩が出席され(入学式には卒業50周年の先輩たちが招かれ、2004年度には2300人が出席された)、中には親子で一緒の場合も見られる。この光景を眺めて、熊坂さんと一緒にときどき歌詞を盗み見しながら塾歌斉唱し、「社中一致」の慶應義塾の素晴らしさを賛嘆し合う。

SFCの卒業式であるテーク・オフ・ラリーは1994年以来ずっと続いてきたが、今年は行わないことになった。これは残念であり、来年の新たな再開を祈りながら、しかし研究プロジェクト(研究会)、アドバイザリー・グループやサークルなどで、個別に卒業生の歓送会が開かれており、致し方ないかもしれないとも思ってしまう。

私の研究会も2月はじめに学生主体の卒業生追出しコンパを開き、卒業式直前の3月下旬に私主催の昼食会を西麻布のフランス・レストランで行うことが恒例になっている。都会の真ん中でフルコースの料理をきちんとしたマナーでとることも、都会から離れたSFCで4年間を過ごした卒業生には必要であろうという発想からはじまった。これは私自身が卒業の際に、塾長であった恩師の石川忠雄先生が研究会の卒業生を招いたことを真似たものだ。ただし、石川研究会では先生行きつけの神田にある料亭で芸者さんを呼んで食事会をした。そのとき、私も含めて招かれた同期の卒業生たちが感じたのは、社会に出るということはある種のマナーが必要だということであった。

私には行きつけの料亭もないし、豊富な資金力もないので、フランス料理屋にしたということである。昼食会を通じて伝えたいことは、一つはやはりマナーの必要性である。もちろん、マナーにはいまや不要な陋(ろう)習もあり、それは打破すべきである。しかし、異なる人間が構成する社会の存続にルールが必要なこともたしかである。伝えたいもう一つは義塾の「社中一致」の素晴らしさである。卒業25周年の先輩が数千人も卒業式に出席するのは、おそらく日本の大学では慶應義塾だけであろう。出席するのは、愛塾精神ゆえであるが、社会に出て義塾出身であることの素晴らしさを体感したからこその愛塾の精神であろう。私の研究会の卒業生たちも群れたがりで、先生抜きでしばしば集まってはリフレッシュをしてまたそれぞれの場で頑張っている。

卒業生の皆さん、SFC三田会に入会し、毎年秋のホームカミングデイにはSFCに戻って来てください。SFCの授業も「SFCグローバルキャンパス」でときに覘いてみてください。そして2008年に迎える慶應義塾創立150周年にご協力をお願いします。

(掲載日:2005/03/03)

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