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2005.02.22

入試のつわもの|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

毎年この時期は、一般入試監督業務や本部業務を手伝う時期であるが、実に例年いろいろなことが起きる。最近特に目立ってクレームが多くなってきているのが、"隣の貧乏ゆすり"が気になるので注意して欲しいという要望である。本人にとっては、大変耐え難い問題であり、気が散って小論文などをまとめられなければ一大事である。一方、会場のはりつめた空気の中で、注意を与える必要がある程ひどいケースかどうかの判定にも大変気を遣う。監督者が確認にいっただけで動きが止まり、またしばらくすると再開するといったケースもある。実際にはすでに止まっているのに、ゆすっていたと思われる受験生に注意を与えることは逆に気を煩わすことにもなりかねない。会場では、これを手際よく判定しなければいけない。しかし、あまりにもひどい場合には、別室受験などで対応して頂くしかないケースもある。

一方、昨年の小論文の会場で、すごいつわものに出くわした。この男子学生は、小論文の問題にさっと目を通すとあっという間に机に顔を突っ伏して寝だした?のである。試験開始からほんの10分後である。最初は、自分の考えをまとめるためのポーズかなと思っていたのであるが、どうやら本当に寝てしまったのである!いびきを掻いて他の受験生に迷惑がかからないか、ヒヤヒヤしながら見ていると、一向に起きる気配がない。いくら小論文の試験時間が3時間あるといっても、このような勢いで寝られてしまうとビックリである。いろいろな事情があるのかもしれないが、こちらが起こしてあげるわけにもいかず気を揉むことになってしまう。

午後の会場では、外の気温も上がり部屋の暖房がやや効きすぎる場合があるので、よく窓を開けて室温の調整をしてあげる作業が起きる。窓を開けたり、閉めたりする際にも、例の男子学生を見るが一向に身動き一つない。このままタイムアップで、白紙のままかな?と思っていた残り30分ぐらいの時、むくっと起きあがり、周りをキョロキョロしている。たぶん、自分がどこで寝てしまったのかを理解していたのであろう。次の瞬間、大きなのびを一つし、一気に答案を書き始めたのである。後は、もう黙々と書き続けていた。解答用紙を回収する際には、無事終了していたようであった。

こんなつわものばかりでも気になって仕方がないが、繊細な人ばかりでも大変である。さて、今年は、どんな人たちが受験してくるのであろうか?

今年も無事に入試業務が終わることを祈っている。

(掲載日:2005/02/22)

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