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2006.01.19

学生からの贈り物|冨田勝(環境情報学部長)

私は子供の頃、誕生日が12月28日であることを密かに恨んでいた。

時期が時期だけに、友達を呼んで誕生日パーティーというものを開いてもらったことがない。開いてもらう場合でも必ず「クリスマスパーティーと併催」となり、誕生日プレゼントも、「クリスマスプレゼントと合併」という名目でよく省略されたものだった。

しかしその後大人になって、知人を呼んで誕生日パーティーなんてこと自体がなくなる歳になると、「クリスマスパーティーと併催」というのは結構オイシイことがわかった。クリスマスパーティーが盛り上がった頃、「そういえばもうすぐ冨田さんの○○歳の誕生日です!」といって新たに乾杯してもらったり、ケーキの「ロウソク吹き消し儀式」をやらせてもらったりすることがあるからだ。これ皆にとっては、ついでだろうけど、本人はかなり嬉しいものである。

先月の研究会クリスマスパーティーにおいても、学生達から誕生日プレゼントをもらった。数十人の寄書きが全身に入ったバスローブと安眠枕である。学生達からしてみれば面白半分のギャグのつもりであろうが、いやほんとにうれしい。12月に生まれて本当によかった、とつくづく思う。

私は、教員会議はなるべく早く終わらせることをモットーとしているくせに、学生とのパーティーとなると、自らエンドレスになってしまう。この日も結局朝まで学生たちと語り明かしてしまった。研究プロジェクトの夢を語り合ったり、日本の政治問題についてディベートしたり、はたまたUFOや超能力から流行歌手やファッション、恋愛論にいたるまで、話題につきることはない。

そんな風に若者と密度の濃い会話ができることは大学教員の特権である。研究アイデアの多くはそんな中から生まれ、学生から多くのことを学び、なにより学生から若さとパワーを貰う。それこそが私にとってかけがえのない「学生からの贈り物」なのだ。

(掲載日:2006/01/19)

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