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2010.03.31

Smart Universities and Cities|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

2月下旬:先端ITSPプログラムの合同レビューで優秀なソフトウェアを作成した慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、情報セキュリティ大学院大学のM1の学生9名と先生がたとともに、シリコンバレーでの研修ツアーに同行。Google, Apple, VMware, NeuroSky, Mozillaといった企業とともに、UC BerkeleyやStanfordにも訪問した。参加した学生たちには、あらかじめ訪問企業の担当を決め、質問事項なども準備しておいてもらったが、彼らにとっては、初めての経験であり、うまく質問できた人や思い通りにならなかった人などいろいろであった。印象に残った1つに、Stanfordでのミーティングがある。Stanfordで博士課程の学生や起業した人たち6名に参加してもらい、ITSP組といろいろな議論を英語でしてもらった。まず2 minutes madnessで、各人の自己紹介を兼ねて、自分の研究やITSPの演習で作成したシステムの発表をしてもらい、その後、シリコンバレーのカルチャ、米国大学での生活、将来の進路、起業などに関して議論した。Stanfordの博士課程の連中は、博士取得後、自分で起業するのが普通というかクールであるという価値観を持っているのに対し、ITSP組の人たちの多くは、「就活する」といった発想が普通であって、「起業」というオプションは、限り無く小さいように感じられた。今回の研修で、ITSP組の人たちにどのような心境の変化が起きたかは大変興味深い。

シリコンバレー研修ツアー

研修ツアーミーティング

3/4(木):「 グローバル情報社会におけるアジアの役割 -大学の人材育成戦略 -」というGlobal30プログラム主催の国際ワークショップ に参加。韓国の延世大学、UC Santa Cruz, 京都大学、明治大学からゲストをお招きし、各大学での取り組みをはじめ、「アジア地域における大学の役割と人材育成」についてのパネルを行った。アジアの大学においてもグローバル化は急速に加速しており、国際標準での研究・教育体制整備とグローバルな人材育成をSFCがリードしていかなければいけないという思いが強く心に残った。

3/12(金):スウェーデンのSödertörnUniversity のMedia Technology and Informaticsのファカルティ18名が大使館の方とともにSFCを訪問。1996年に創設された新しい大学で、Media Design, Media Technology, Computer Science, Computer Game Studiesなどを教えている。SFCのmedia design系やIT系の人たちと研究テーマが大変近い。日本で連携できそうな大学を中心に訪問しているとのことで、SFCでは、徳田研、安村研、増井研、中西研などを見学して頂いた。それにしても、18名のグループでの視察をサポートできる大学は、すばらしい。思い起こせば、我々もかつて21世紀COEプログラムの一貫で欧米やアジアの大学を十数人で訪問した時があった。

3/18(木):フィンランドのVTTのユビキタスコンピューティング関連の研究者たちが研究室を訪問。EUでのARTEMISプロジェクト の概要をお話頂いたとともに、研究室で作成したスマートオブジェクトサービスやカメレオンシステムのデモを見て頂き、議論した。昨年の6月にOuluに招かれた時と同様、ユビキタス技術の社会実装へむけての開発が加速している。

さて、お題の密かにしたいことであるが、ちょっと考えて、すぐ次のことを思い出した。ある晩、密かに大量のスマートダスト版Wi-Fi基地局(まだ存在しないが…)を用意し、東京の空からばらまいて、一晩で街全体をフリーアクセス可能なSmart Cityに変貌させてしまうことである。

また、「夢のような事を言って」という声が聞こてきそうだが、スマートな大学とスマートな都市は、真面目に、未来に向けての重要課題だと思っている。

(掲載日:2010/03/31)