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自発的な共同研究で複雑な分野を横断

政策・メディア研究科 後期博士課程2年
アキル・シェッダーディ

所属プログラム:環境デザイン・ガバナンス(EG)

 モロッコの首都ラバトにある国立の建築専門学校で6年間学び、建築士の国家資格を取得しました。モロッコの建築専門学校は地理学や社会科学からのアプローチが主体ですが、環境やサステナビリティに関する知識も広げたいと考えていました。そこで日本のSFCなら、より広い視野からこれまで学んだことの再発見ができるのではないかと考えたのです。

多様なアプローチから研究できる学際的な環境が、政策・メディア研究科の大きな特長です。池田靖史研究会では、他の研究会や他分野で進行中の研究とも自発的な共同研究が生まれます。都市計画のように複雑な分野横断型の研究をするには、こんな環境が必要であると考えていました。

ここSFCでは、新しいテクノロジーで社会や経済の問題を解決するプロジェクトが多数おこなわれています。最初はモロッコのスラム問題について研究していましたが、このようなSFCの環境によって包括的な方法で問題を解決する視点に変化してきました。例えば古いモロッコや北アフリカの街が自発的に進化してきた過程を解析し、そのアルゴリズムを未来の都市計画に活用すべくシミュレーションしています。

正しい疑問を設定することは、自分らしい個性を育てて他者のユニークな視点を理解する第一歩です

 修士課程の2年目から、ティーチングアシスタントも兼任しています。教える立場になることで、学生たちとの議論や意見交換から得られる学びの機会も増大します。慶應義塾を創設した福澤諭吉先生の「半学半教」の本質を実感しています。

大学院における研究活動の目的は、自分の研究を深めることでより優れた知見に出会い、自然や社会に対する優れた問いに気づくこと。世界や自分自身に対して、正しい疑問を設定できるチャンスがここにあります。自分らしい個性を育てて、他者のユニークな視点を理解できるようになる第一歩です。

研究室紹介

池田靖史研究室

キーワード:建築・都市設計、建築情報学

研究内容:情報技術を応用した環境のデザインとその実現方法を探る研究会です。
情報技術の進歩により、建築や都市のデザインとその実現を総合的に扱うコンピューテーショナルな環境が出現しています。
パラメトリックなデジタル3次元モデルを基盤にするデータ集積(BIM)によって「図面」を経由せずに広範囲な情報共有が可能となるにつれ、デザインの方法からものづくりの方法、そして完成後の利用の方法に至る様々なプロセスに影響が起きています。構造、音、熱、気流などの様々な空間と環境の要因についてのシミュレーションや、複雑で設計作業が困難だった立体的関係の検討が可能になり、アルゴリズムによって建築の機能条件の解決可能性をコンピュータで高速に計算させる手法も登場しているからです(コンピューテーショナル・デザイン)。今後、さらにデジタル制御の製造加工技術とのデータ連携が空間構築の技術的な実現可能性自体にも大きな変革をもたらそうとしています。(デジタル・コンストラクション)
こうした「建築情報学」の進化の一方で、我々の生活は地球環境への対応を迫られ、これからの建築・都市にはエネルギー不足や大規模災害の危機や、高齢化やグローバル化する社会への対応が求められています。「建築情報学」の技術をこうした社会における様々な問題を解決するレジリエンシイ、サスティナビリティ、アダプタビリティといった新しい価値を建築にもたらすものであるべきであると考え、実践的なプロジェクトを通じて、イノベーティブでかつ有意義なデザインとその実現手法を研究しています。おもにチームで上記のようなデジタルなデザインとその実現手法による建築・都市・環境の提案と実験や実証を具体的な活動にしています。