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未来のSFC生と、「たらようの木」でつながっていく

未来のSFC生と、「たらようの木」でつながっていく

北村 理紗

北村 理紗 Risa Kitamura
学部:総合政策学部3年
出身校:東京都立国際高等学校(東京都)

野末 美樹

野末 美樹 Miki Nozue
学部:総合政策学部2年
出身校:愛知淑徳高等学校(愛知県)

廣瀬 みお

廣瀬 みお Mio Hirose
学部:総合政策学部2年
出身校:学習院女子高等科(東京都)

村上 ユリ

村上 ユリ Yuri Murakami
学部:環境情報学部2年
出身校:洗足学園高等学校(東京都)

大村 真穂

「たらようの木」プロジェクトメンバー(取材時は不在)

大村 真穂 Manaho Omura
学部:環境情報学部1年
出身校:都立三鷹中等教育学校(東京都)

SFCのキャンパスの一角に、「βビレッジ」という滞在型教育研究施設があります。「βビレッジ」は、施設の設計・建築にも学生が関わり、教員とともに新しいキャンパスや学びを創造していく、「SBC(Student-Build Campus)」という活動の拠点です。その中で生まれた「たらようの木プロジェクト」について、リーダーの北村理紗さんをはじめメンバーの皆さんに話を聞きました。

SBCに関わる人の心の拠り所に

北村 「たらようの木プロジェクト」は、石川初先生の授業「SBC入門」で出された、「βテスト:βビレッジを創造的に使う」という課題から生まれたプロジェクトです。
野末 「βビレッジ」は、自分自身に向き合い、人とのつながりを感じられる場です。その雰囲気を活かし、つながりを広げたり、深めたりする企画を目指してグループワークを重ねていました。
北村 その中で、植物に詳しいメンバー(大村真穂・環境情報学部1年)から「たらよう」の話を聞いたのです。「たらよう」は漢字で書くと「多羅葉」、葉っぱに針などで文字が書ける、葉書の「葉」の文字の由来になった木です。たらようの木をβビレッジに植えてSBCの象徴を作り、関わる人たちの心の拠り所にしたい。葉っぱを自分の思いを表現する手紙のように使いたいと思いました。

葉っぱの手紙への反響

廣瀬 まずは「たらよう」を手に入れるのが大変でした。探してもなかなか見つからなくて、ひとまず実験用にフリマアプリで購入して、葉っぱに文字を書いて先生やクラスの友人に送りました。その後、SFCの近くにある造園屋さんと連絡が取ることができて、たらようの木を間引きする際に枝や葉っぱを譲っていただきました。
村上 送るときは郵便の指定サイズに合うように、葉っぱをパッケージに入れて送ります。最初は小さな葉っぱに切手を貼ってそのまま送ってしまったのですが、郵便局の心遣いで届けていただき感謝しています。
北村 プロジェクトのホームページを見た方から連絡をいただいたこともあります。老人ホームのイベントで葉っぱの企画をやりたいとお聞きし、造園屋さんを紹介して実現をサポートしました。おじいさん、おばあさんたちが、お孫さんや古くからの友人に葉っぱの手紙を出して、新たなつながりが生まれたそうです。
村上 「SBC入門」の授業でも楽しみにしてくれる人がたくさんいました。先生方も、木をシンボルにするだけでなく、葉っぱで思いを伝え合うという考え方を評価してくださいました。
廣瀬 実際に手書きして送ると、メールやSNSとは心の込め方が違うことを実感します。受け取る人たちも、例えば祖母は葉っぱをリビングに飾っていて、一つの作品みたいに捉えてもらえるのが素敵だなと思いました。

「未来郵便」の実現を目指して

北村 まだ木を植えることはできていませんが、「未来郵便」という企画を考えています。未来へ向けて書いた葉っぱの手紙を保管して、その時期が来たら届けるというものです。例えば、卒業する私たちが書いた手紙を未来のSFC生が読んで、時間を越えてつながりが生まれる。新しい何かが形になる。そういうことが起こるプロジェクトに育てたいと思っています。
廣瀬 大学以外の方々にも気軽に来ていただけるように、たらようの木が地域コミュニティの玄関みたいになってほしいという思いもあります。
野末 SBCには、未完のキャンパスという理念があります。先生方も、完成しないことに意義があるので、メンバーや集まる人次第で創造的に使う可能性が広がると話されています。
村上 木を育てるのには時間がかかるので、私達の在学中に実現することは難しいかもしれません。だからこそこのプロジェクトを後輩に引き継いでいき、たらようの木を育てる仲間として運営も未来に引き継いで行けたらいいなと思っています。

実践して学ぶ、教員と知恵を出し合う

北村 プロジェクトが構想だけで終わらなかったのは、自ら環境を作って実践的に学びを深めることを、SFCが大切にしているからだと思います。テーマを決めたら、まずやってみる。予想と違ったら修正する。模索しながら、より良い方向へ学びを進めていくことができるのです。
野末 私がSFCを志望したのも、フィールドワークなどを通して実践的に考えるスタイルに憧れたからです。このプロジェクトもそうですが、自分たちでアイデアを出し、それが実現したことを評価してもらえるのは、SFCならではだと思います。
廣瀬 教員と学生の関係性も独特で、それもSFCの魅力です。「教える・教えられる」ではなく、一緒に作り上げるという考え方があります。「βビレッジを創造的に使う」というテーマも、先生が答えを持っていたわけではなく、学生とともに知恵を出し合うという進めるなかで決まったところが面白いと思いました。

やりたいことが決まっていなくても大丈夫

野末 SFCには本当にさまざまなバックグラウンドを持つ人が集まっています。一人ひとりが自分の考えを大切に、思い思いの活動に取り組んでいます。話を聞いているだけでも、楽しくて刺激的です。そして、そういう人がたくさんいるからこそ、いざ自分が何かやろうと思った時には、必ず誰かがサポートしてくれるのです。
村上 私はやりたいことが決まっていなくて、入学当初は不安でした。しかし今は、SFCならそういう人でも大丈夫だと思っています。研究会にも早くから入れるし、掛け持ちもできるし、移ることもできるので、そこでやりたいことに気づくかもしれません。私が「パターン・ランゲージ」の研究に出会えたのも、「たらようの木プロジェクト」に参加できたのも、SFCに来たからこそだと思います。

出る杭を伸ばしてくれるSFC

廣瀬 SFCを志望する人の中には、今まで何かに集中して取り組んできた人もいると思います。そういう人からすると、出る杭は打たれるみたいなところが心配かもしれませんが、SFCは出る杭を伸ばしてくれる場所だと私は思っています。頑張ってきたことを存分に活かしてほしいです。
北村 SFCには、自分がやりたいと思うことが存分にできる、ありたい自分でいられる環境があります。やりたいことを自分が動いて探せる人、ありたい自分でいるための道を拓く前向きな姿勢を持っている人であれば、きっと充実した大学生活を過ごせると思います。

関連リンク
たらようプロジェクト