MENU

24才での再挑戦~学びに遅すぎることはない~

24才での再挑戦~学びに遅すぎることはない~

T.H
学部:総合政策学部3年

理系大学中退からの再受験

私はかつて、別の大学で化学系の研究をしていました。その大学は3年間勉強したのちに中退し、その後は、学生時代のバイト先だった飲食店で、店長として働いていました。中退当初は大学に入り直すという考えはなかったのですが、店でアルバイトの大学生たちの活動内容を聞くうちに、もう一度学び直したいという気持ちがふつふつと湧き上がってきました。
漠然と国公立への再挑戦を念頭に置き、再受験に向けて予備校に通い始めたのですが、次は失敗したくないという思いがありました。そこで、予備校での進路相談で「専門分野を固定せず、広く学びたい」という私の意向を伝えたところ、希望に合う大学として、一番に薦められたのがSFCでした。調べるうちにSFCの学際的な環境や柔軟性の高いカリキュラムを知り、ここしかない!とSFCへの入学を決意しました。

年齢差を感じず馴染みやすい環境

24才でSFCに入学した当初は、具体的に学びたい分野が決まっているわけではありませんでした。学内には、高校時代からさまざまな活動で実績がある同級生たちが大勢いて、最初は引け目を感じて不安になりましたが、まったくもって杞憂に過ぎませんでした。私のような「何でも挑戦してみたいけど、具体的なプランはない」という人や、「興味がある分野を見つけられていないけど、大学に入って打ち込めることを見つけたい」という人にとっても、SFCは最適だと思います。SFCでは分野問わず、本当にいろんなことを学ぶことができます。私と同じような動機で入学した友人たちも、今は音楽系の研究に打ち込んでいる人もいたり、皆、自分のやりたいことを見つけて研究に没頭しています。
SFCには珍しい経緯で入学してきた人が少なくないので、私のような再受験組や入学前に寄り道してきた人でも馴染みやすく、居心地のよい環境だと思います。私自身、SFCに入学してよかったと心から満足しています。

イスラーム文化に魅入られる

3年生の今、私はイスラーム文化をメインに研究を行っています。野中葉研究会に所属、「ムスリム共生プロジェクト」と「現代東南アジア研究」でSA(Student Assistant)を務めています。かつて理系の研究をしていた私の経歴から、イスラーム文化の研究に至るとは想像しづらいと思いますが、そのきっかけは、なんとなく面白そうだという動機で、第二言語にマレー・インドネシア語を選択したことでした。
インドネシアはムスリム(イスラーム教徒)が9割を占める国で、インドネシア語の授業ではイスラーム文化に触れられる機会があります。イスラームというとテロや暴力、狂信的といったイメージが強かったのですが、実際に触れてみると宗教的な寛容さもあり、まったくの偏見だったことが理解できました。先入観とのギャップに面白さを感じて野中葉研究会に入ってからというもの、さらにイスラーム文化の奥深さに魅了され、どんどん引き込まれていきました。

ムスリム共生と映画におけるイスラーム描写

ムスリムは、今や世界人口の4人に1人を占めるまでになっており、今後も増加していくことが予測されています。イスラームへの正しい理解が必要になる時代において、日本ではムスリムとの直接的な交流の機会が少ないこともあって、イスラームに対する偏見や誤解が根強く残っています。このため、「ムスリム共生プロジェクト」では、東京都豊島区のモスク「マスジド大塚」でフードドライブという活動を行い、地域の人々やムスリムの方々との積極的な交流を促しています。私は「マスジド大塚」を地域共生の成功例と捉え、「地域協働の観点からみるマスジド大塚と地域の関係性の特徴について」というテーマで、調査・研究を行っています。
「現代東南アジア研究」では、映像制作会社、マーベルスタジオの作品をテーマに研究しています。これまでの作品には、イスラーム=テロリストといった偏見を助長しかねない描写が多く見られていたのですが、近年の作品では実情に近い認識によって描かれており、イスラーム描写をめぐる背景が変化してきているように感じられます。研究では、このような映像作品におけるイスラーム描写が「いかに文化認識へ影響をもたらすか」について調べています。

学びを支えてくれる多くの支援

目下、私の目標は就職内定をいただくことです。イスラーム映像の研究に取り組んでいる動機のひとつには、もともと映画やアニメなどが大好きということがあるので、就職先は映画制作などに関われるエンターテインメント業界を希望しています。イスラーム研究からエンタメ業界と、一見結びつかないようにも思える進路ですが、SFCでの研究によって繋げることができました。SFCでは研究分野を自由に変更したり、同時進行することが可能なので、今後、動画制作などのプロジェクトに関わりたいという思いもありますし、現在も、プログラミングの研究会に聴講という形で参加しています。通常、一般的な大学ではプログラミングと宗教研究を同時に行うことは難しいですが、SFCなら可能です。また、SFCには経済やビジネスなどさまざまな分野の専門家がおられるので、異なる観点からアドバイスを得ることができます。多様な視点から学べるSFCの環境は、非常に希少だと思います。
このように、私が大学生活や研究に集中できるのは、学内外からいただいている奨学金や研究助成による支援のおかげです。入学前には経済的な不安もありましたが、SFCには多くの支援制度が用意されていました。SFCでの学びは他では経験できない貴重なものです。もし、もう一度やり直せるとしたら、最初からSFCに入りたかったと思います。決して安くない学費ですが、その価値は十分にあります。受験生の皆さんには、安心してSFCに挑戦してほしいと伝えたいです。