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自ら進んで、早くから研究所で学べる「自由」

自ら進んで、早くから研究所で学べる「自由」

齋藤 怜奈 Rena Saito
学部:環境情報学部3年
出身校:日本大学藤沢高等学校(神奈川県)

チャレンジ精神を受け止めてくれる

私は中学の頃からバイオに興味がありました。高校時代にはSFC主催の「高校生バイオサミットin鶴岡」や「慶應アストロバイオロジーキャンプ」に参加したのですが、その時の経験がSFCを志望する大きな理由になりました。
バイオサミットのことをお話しすると、私が発表した研究計画は、「火星移住計画に向けたテラフォーミング」というものでした。地球以外の惑星の環境を人類が生活しやすいように改変することをテラフォーミングと言うのですが、火星移住計画というワードを出すと、それはまだ先のことで、現実味がないと言われるのではないかという不安がありました。しかし先生方は否定するどころか、受け止めた上で熱心にアドバイスまでくださったのです。私が大切にしたいと思っていたチャレンジ精神を受け止めてもらったことで、私の性格に合致している大学だと強く感じました。賞もいただけたので、私の考えを認めてくださった証拠なのではないかと思っています。

先端生命科学研究所を拠点に

SFCでは、未来の可能性を見越した研究ができます。実現できたらいいなと思うことを考え、その実現へ向けた研究ができるのです。しかも、自ら進んで、早くから研究所を拠点に研究活動に取り組めますし、外部の研究機関とのつながりもあります。大学が研究のためのフィールドを広げてくれていることは、SFCの大きな魅力だと思います。
私は1年生の時に先端生命科学研究会に所属しました。現在の研究拠点は、山形県の鶴岡にある慶應義塾大学の先端生命科学研究所です。その前は、藤島皓介特任准教授(東京工業大学 地球生命研究所准教授)のもとで、研究していました。

CO2を効率よく資源化する酵素を探る

藤島先生のもとでは、「二酸化炭素(CO2)資源化に向けた炭素固定酵素の探索と機能解析」をテーマにした研究を行っていました。
このテーマを選択したのは、地球温暖化の問題に関心があり、再生可能エネルギーの技術向上に貢献したいと考えたためです。近年、温暖化ガスの一種であるCO2を有効活用する方法が模索されており、CO2固定化酵素が注目されています。ここで炭素固定とは、植物や微生物が取り込んだCO2を有機物に代え固定する機能を指します。CO2固定化酵素にはさまざまな種類があり、個性があります。そこで、酵素を機能解析し、CO2を効率よく固定してくれる酵素を選び出すのです。最終目標は、微生物に炭素固定機能を持たせることです。微生物は、条件さえ整えば自ら繁殖してくれます。酵素も同時に増殖していくというメリットを使うと、将来的にも需要が高まると考えられています。
1年生の時から、藤島先生のもとで研究の補助をさせていただいたことも、現在の研究や活動に活かされています。同じ酵素という分野でしたので、研究する上での知識や技術はもちろん、ロジックを含めた研究者としての大切な考え方を学ぶことができました。今後は、自分が他者の活動をサポートする立場に立てるようなスキルを身につけていきたいと思っています。

酵素の探索から、酵素の立体構造解析へ

現在は、先端生命科学研究所の特任講師湯澤賢先生のもとで、「クライオ電子顕微鏡によるポリケチド合成酵素の立体構造解析」をテーマに研究に取り組んでいます。酵素の探索と機能解析を行なったので、次は酵素の立体構造解析に取り組みたいと思いました。
モジュラーポリケチド合成酵素(PKS)は、薬剤の原料となるポリケチド天然物を合成する巨大な酵素です。PKSの機能改変を行うと、新しい薬作りにも貢献することができます。そのためには、機能改変の標的となる酵素の構造を知ることが重要ですが、PKSにはたくさんの種類があり、種類ごとに構造が異なっているのです。そこで、巨大酵素の立体構造解析に適したクライオ電子顕微鏡を利用し、さまざまなPKSの構造を明らかにしたいと考えています。

幅広い視点から多彩な分野を学ぶ

私は、研究領域である生物系の科目だけではなく、文系の科目も履修してきました。例えば、環境問題や近年行われている環境に関する活動について、環境分野の科目で学ぶ。あるいはまた、会社法や民法など、法律分野の学びにも取り組みました。
研究成果を活かしていくために、必要になるのではないか。研究の大きな目的を達成するために、将来的に活きてくるのではないか。バランスを考えながら、研究とは異なるカテゴリーの科目を履修したのは、そのような思いに基づくものです。学びたいことが明確になれば、フレキシブルに、幅広い視点から多彩な分野を学べるのもSFCの特長だと思います。

自分の軸を持っている人のSFC

SFCには、ありとあらゆる学びの選択肢があると思います。私は、自分が学びたいバイオ分野の研究に、早くから取り組むことができました。本当に自由度が高くて、私は「SFC=自由」みたいなイメージを持っています。先生方は、目標を持っている学生を親身になって応援してくださいます。自分からアクションを起こす学生には、きちんと向き合ってくださいます。
だからこそ、自分の考えの軸をしっかりと持っておくことが大切だと思います。SFCは、主体性があって、「こういうことがしたい」と自分からはっきり言える人に、とても適した場所なのではないかと思っています。