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キャンパスライフ

独りがひとりじゃなくなる、移動する居場所づくり

柴田 雅史 Masashi Shibata
学部:総合政策学部4年
出身校:慶應義塾高等学校(東京都)

「キッチンたまり場」という個人研究プロジェクト

私は、「キッチンたまり場」というキッチンカーのお店をSFCで定期的に出店しています。きっかけは大学1年の夏、履修していたインドネシア語の先生のすすめで、インドネシア旅行に行ったこと。毎晩リヤカーの飲食店が"たまり場"になって、地元の人たちが団らんしている光景を目にしたことでした。「なんであんなに心を動かされたのだろう...」。帰国して考えてみると、東京の住宅街で育った私には地元での人との関わりがあまりなくて、それを心の深いところで寂しく思っていたことに気づいたのです。その気づきから、移動する屋台で生活者に寄り添った小さな居場所づくりの可能性を探究したいという思いが生まれ、「キッチンたまり場」への一歩を踏み出しました。
実際にオープンできたのは、たくさんの方々の応援と協力のおかげです。知り合いにキッチンカーを借りられたこと。SFC-IV(慶應藤沢イノベーションビレッジ)の起業支援施設の方々にサポートしてもらえたこと。学事の皆さんの力添えでSFCに出店できたこと。少しずつ活動が前へ進むにつれて、自分の"たまり場"への思いも強くなっていきました。

藤沢のおいしい野菜をメニューに

メニューにも悩みました。いろいろと試行錯誤したのですが、出店先で農家の方々と出会って、藤沢にはとてもおいしい野菜があることを知りました。そのおいしさを伝えていく役目を果たしたい。地域を元気にすることにも貢献したい。そのような思いから、地元の素材を大切にするようになりました。今は「藤沢野菜のキーマカレー」がメインメニューになっています。
開店して1年くらい経った頃でしょうか、なぜ「キッチンたまり場」をやっているのか、あらためて自分の思いを書き出して整理してみました。たどり着いたひと言が、「独りがひとりじゃなくなる」。何度も自分に問いかけて、ようやくコンセプトを言葉にすることができました。知り合いの輪が広がり、知り合いの知り合いが集まるようになっていく中で、インドネシアで見た光景が少しずつ形になっていることを実感しています。今はSFCというホームグラウンドを中心に活動していますが、今後は街の中で同じような成果を生み出せるか、挑戦してみたいと思っています。

地域の課題を解決する「リヤカー隊」

一方で、"地域における効果的なプラットフォーム設計"をテーマとする飯盛(いさがい)義徳研究会に所属して、「白岡元気プロジェクト」に関わっています。埼玉県の白岡市で地域づくりをサポートするプロジェクトです。白岡市の中心地は栄えているのですが、過疎地域もあって、そこではさまざまな課題が顕在化しつつあります。そこで、住民の方々と学生で課題をピックアップして、その解決へ向けたアイデアで地域を元気にするための活動を展開しています。最終的には住民が課題を把握して、自分たちでその解決策を実行していけるような土壌作りを目指しています。
私は、「リヤカー隊」として活動しています。「リヤカー隊」は、「住民の交流が減っている」「買い物が不便」...といった声に応えるための話し合いの中から生まれました。
「馬車なんてあったら面白そうだね」
「白岡は農業の町だからリヤカーはたくさんあるんじゃないか」
「リヤカーをみんなで引っ張りながら、誰もが気軽に集まれる場をつくっていこう!」
「リヤカーを地域づくりのシンボルにしよう!」
...という具合にアイデアがまとまり、採用されることになりました。現在、地元の野菜などをリヤカーで引き売りしながら、住民の方々が考えた地域課題の解決アイデアの実現に向けて話し合いを重ねています。

とても刺激的だった4年間

キッチンカーもリヤカーも、"移動しながら人が集まる場所をつくる起点"になれるところは共通しています。その一番興味のあるテーマを、今後は同じSFCの大学院政策・メディア研究科に進学して、どちらの活動も継続しながらより深く追究していきたいと考えています。
4年間を振り返って思うのは、とても刺激的だったということです。私は、まず興味を持ったことをやってみて、失敗を繰り返しながら、その世界を切り拓く努力を続けることができました。しかし、入学した当初は、何かやりたくても、何をやればいいかがわかりませんでした。そんな頃に、同じような悩みを抱えてがんばっている仲間との出会いがありました。お互いに励まし合いながら、同じ思いを共有して歩んで来られたことは大切な思い出です。SFCは、何とか自分の道を切り拓こうという思いを持った人たちが集まる場所です。だからこそ、とても刺激的なのだと思います。

キッチンたまり場
飯盛義徳研究会 白岡元気プロジェクト