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混迷を極めるシリア紛争に対して、
アメリカをはじめとした国際社会はどう向き合うのか

林 ハイディ 軌歩 Heidi Kiho Hayashi
学部:総合政策学部4年
出身校:戸山高等学校(東京都)

私は東京で生まれ育ちましたが、台湾出身の父とアメリカ人の母のもと育ったため 、自然と幼い頃から世界情勢に関心を持ってきました。大学では世界の多くの紛争に対して、国際社会が有効な対応策を取れなかった事例を学んだので、2011年に勃発して混迷を極めるシリア紛争に焦点を絞って国際社会との関係を明らかにしたいと思い、研究テーマとして設定しました。
国際社会の中でも、もっとも影響力を持っているのはアメリカです。シリア紛争においてもアメリカは、いち早く関心を示しました。しかし結果的には、「紛争に介入しない」という道を選んでいます。いったいなぜ、介入しなかったのか。私は、アメリカの世論が「シリアに介入したところで、アメリカの国益にならない」と判断して介入に反対したという仮説を立て、資料やデータを集めてその裏づけを行っています。 紛争が勃発し、人道危機が深刻化しても、国際社会はどう対応していけばいいのか未だに明確な答えがないのが現実です。私の研究が、いつか有効な対応策を見出すためのヒントになるよう、真摯に取り組んでいます。

人道問題に関心を持ち続けたい

研究の要であるアメリカの視点に立って学びたいと思った私は、1年間交換留学生としてアメリカの大学へ行きました。その時に、多くのアメリカ人にインタビューをして生の声を聞きました。政府関係者や大統領の側近に直接質問をする機会も得ました。アメリカは人権意識が強いにも関わらず、大きな人道危機を生み出しているシリア紛争に対して不介入を決定。アメリカ国内では介入すべきという声も上がっていましたが、国益を優先する世論に押される形で消えてしまいました。そこに私は、国際問題における国益の壁を感じました。
シリア紛争のような世界秩序を大きく乱す騒乱に対して、アメリカをはじめとする国際社会は「国益の壁」を理由に今後も有効な対応策を取らないのか。この研究で何らかの結論を見出すだけではなく、国際問題についての民間レベルでの対話や交流を続けていきたいと考えています。そして卒業後は社会に出て知見を身に付けた上で、大学院で専門性を深め、将来的 には国際機関で人道支援に通じる仕事をしたいと考えています。