長谷部研究会 での取り組み
オコメンプロジェクト"食と農"に対するアプローチ
長谷部葉子研究会オコメンプロジェクトではSFCが所在する遠藤・御所見地区において学生の農業体験の推進やSFCにおける地産地消の実践を行っています。
SFCの所在する遠藤・御所見地区は古くからの農村としての性格を有し、現在も豊かな食と農の暮らしや文化が根付いている地域です。そのような地域の特色を生かし、食と農の分野から地域と共にあるサステナブルキャンパスの実現に取り組んでいます。
【遠藤・御所見地区】
遠藤・御所見地区は藤沢市の北部に位置し、都市近郊ではありながらも古くからの農村地域としての特徴を有しています。現在でも、米・野菜・果樹・畜産・花卉などの多様な農業が営まれています。

長谷部研究会では、そのような遠藤・御所見地区の特色を生かしながら地域と大学の関係性を育んでいくことを目指し「食」と「農」の視点から取り組みを行っています。またそれぞれの取り組みは独立することなく、相互に関わり合いながら存在しています。そしてこの取り組みが学内のみに限定されるのではなく、地域と共にあるサステイナブルキャンパスを実現するために、日常的な地域の方々との交流や地域の方々と共にある取り組みの実現を目指しています。
農に対するアプローチ~SFC周辺での稲作の取り組み~


創立から35年が経つSFCですが、これまでの周辺地域と大学の繋がりは希薄なものでした。
オコメンプロジェクトでは遠藤・御所見地区の特色の一つである「農」を切り口に、地域と大学の新たな域学コミュニティを形成することを目的に、地域内での稲作の取り組みを2022年より行っています。
2024年度は春の田起こしから秋の収穫まで全てを手作業で行い延べ600名ほどの学生が共にお米作りを行いました。
参加する学生の中には「これまで駅と大学の往復だけをしていて、大学のある地域がこんなにも自然豊かな地域であったことを初めて知りました」と大学の所在する地域性をお米作りに参加することで初めて認識する学生も多く存在しました。

また2024年には、環境情報学部の新入生が履修をする環境情報学(春・秋学期)の補講授業にて、200名ほどの新入生と共に田植えと稲刈りを行いました。これから様々な興味や専門分野を学び深めていく新入生にとって、大学周辺の「環境情報」をまずはじめに体験することは、それぞれの視野に広がりをもたらすのみでなく、今後様々な学生と地域との関係性を生み出していく土台となっています。2025年度以降も多様な学生が「農」を通して地域に開かれて2024年度の田植えの様子いき、持続可能な域学コミュニティが形成されていくきっかけを形作っていきます。

食に対するアプローチ~農の取り組みと循環する地産地消の取組~


SFC周辺地域には豊かな食文化が存在するものの、学内でそれらを実感する機会はほとんどありません。オコメンプロジェクトでは「農」の取り組みと関連付けながら、地域の「食」を学内に普及させる取り組みを行っています。
2024年度も昨年度に引き続き学生が主体となって育てているお米や野菜を学内に流通させる取り組みを行いました。具体的には学内のカフェテリアであるLadybirdにおいて、和田研究会のエシカルプロジェクトが考案した「サラダボウル」に収穫したお米を使用し定期的に提供を行ったり、学内の滞在型教育施設"SBC"にて開講する授業の食事へのお米や野菜の提供を行ったりしました。「農」を通して大学の周辺地域に関わっていない学生まで、幅広く「食」を通した周辺地域への気づきを作り出すことができました。


また11月に開催されたSFC万学博覧会においては、生協内においてお米の販売や卒業生が集うホームカミングデイでのお米の提供などを行い、学生や卒業生、教職員の方々はもちろん、キャンパスを訪れた様々な方々に「食」を通して大学の周辺地域について知っていただき、これからの大学との関係性について考えていただく機会となりました。
2025年度以降は、引き続きより多くの方々が食を通して大学周辺の地域に触れるだけでなく、そこから農の取り組みに参加していくような食と農の取り組みの接続性を生み出していくことを目標に取り組んでいきます。


「食と農」から地域と大学の持続可能なパートナーシップを形成する

「食と農」を切り口に様々な学生や教職員の方々が地域に開かれていくと同時に、地域の方々と一緒に手を取りながら、地域と大学の持続可能なパートナーシップを形成していくことを目指した取り組みを行っています。
長谷部研究会では学内外の交流・連携を生み出すための衣食住共有型拠点として御所見地区に民家を拝借しています。その拠点にて学内関係者のみならず遠藤・御所見地区の 方々までを招いた活動報告会を行いました。2日間で延べ120人ほどの方々が参加したこの会では収穫した餅米を使用した餅つきをしたり、家の中でくつろいでいただいたりする中で、これまで関わりのなかった方々が繋がり合い、同じ地域の一員として認識しあうことができ、地域と大学を繋ぐ上で重要な会となりました。

2024年度は改めて、「食と農」「SFCと地域」というどこか切り離されている二者の関係を見つめ直し、繋げる架け橋となる私たちの役割を認識し、プロジェクトロゴの作成や取組の紹介動画の制作を行いました。また私たちの取組が「大学の枠を超え、地域に根差しながら、地域と共に成長していく取組であることに価値を感じる」という地域の方の声ををいただくなど確実に食と農を通じたSFCと地域の持続可能な関係性にアプローチができていることがわかります。来年度は学生・教職員はもちろん、地域の小中学校や行政機関などのより多くの立場の方々も巻き込みながら更に取組を進めていきます。
プロジェクトの取組紹介動画