今求められている、10代のネットサービスの流行に対応したモラル教育の研究
伊谷 陽祐 Yosuke Itani
学部:総合政策学部4年
出身校:東京農業大学第一高等学校(東京都)
子供たちは、LINE やTwitter などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でコミュニケーションをとる機会が増えています。一方で、学校の教員のほとんどがSNS やスマートフォンを利用し始めたばかりで、子供たちと大人の間でその利用や情報にギャップが生じています。そこで私は、子供たちがインターネット上でいじめの加害者や被害者になったり、犯罪に巻き込まれたりしないために、どのような情報モラル教育が必要なのか研究しています。
その一手段として、所属するサイバー防犯ボランティア研究会でネットモラルについて学んでいる大学生が、学校の教員に代わって教育現場で「ネットモラルの授業」を行い、インターネット上の各サービスにどのような危険があるのかを事例紹介し啓発する方法を考案しました。2013 年から累計3,580 名の小・中・高校生に授業を提供し、2015 年度は保護者向けの研修会も実施。同年9 月にはこれらの活動が評価され、研究会は第31回東京キワニスクラブ青少年教育賞の優秀賞を受賞しました。
情報モラルやインターネット犯罪に詳しい大学生が、学校で授業を実施
情報モラル教育のポイントは変化の早さです。ネットサービスを検討すると、10代で流行するサービスは2~3年おきに変化しています。一方で学習指導要領は、約10年おきの更新であり、新たなデバイスやネットサービスが流行すると、その内容が陳腐化することの繰り返しなのです。
10代のネット上での加害・被害は、学校裏掲示板、Mixi、TwitterそしてLINEなど頻繁にその場所となるサービスを変えています。しかしいずれの場合も、指導すべき内容はモラルであることに変わりはありません。そこで流行するネットサービスについて熟知し、モラル指導ができる教育方法が、教育現場に求められていると考えます。
こうした背景から、所属するサイバー防犯ボランティア研究会では、情報モラルやネット犯罪について研究している大学生が、小・中・高等学校で50~90分間の授業を行う「ネットモラルの授業」を提供してます。そこではSNSを通してのいじめ、インターネットへの不適切な投稿、最近の小・中・高校生に強い影響力を持つ動画投稿サイトなどについてグループワークを行い、子供たちが自ら考えることで情報モラルの向上を目指しています。