1年生から研究会で、国際政治を学べる強み
酒井 智啓 Tomohiro Sakai
学部:総合政策学部3年
出身校:上海市第八中学(中国)
中国政治を学ぶための最適な環境
私がSFCを志望した大きな理由は、教員の魅力です。入学前から、中国政治研究の第一線で活躍されている、総合政策学部長の加茂具樹先生のもとで研究に取り組みたいという思いがありました。また、SFCにはアメリカやヨーロッパ各国の政治から、中東イスラム圏の政治まで、さまざまな国際政治研究をリードする先生方が集まっています。中国に限らず横断的な国際政治研究ができることもポイントの一つでした。
さらに、メディアセンターや資料館など、キャンパスの枠を越えて慶應義塾大学の施設を利用することができます。現代中国政治を学ぶための最適な環境が整っていると思いました。
入学後すぐに研究会に所属
SFCに合格したタイミングで、加茂先生もスピーカーの一人だった中国に関するフォーラムに参加する機会がありました。それが先生とのファーストコンタクトでした。その後、研究会に所属したいことを志望理由とともにお伝えして、入学後すぐに「現代中国政治と比較政治研究」研究会に所属できることになりました。今考えると、私が中国語をすでに使いこなせている点において、研究会に所属しても遅れを取らずに進んでいけると判断してくださったのかもしれません。
早くから研究会に所属できるのはSFCで学ぶ大きな強みです。他大学より研究を深められる時間が多く、集大成となる卒業論文作成へ向けたトレーニングを受けられるというメリットがあると思います。
中国と日本、両方の文化に接する生活
私は中国の上海で生まれ、高校まで現地の学校に通いました。一方で、上海にある日本人コミュニティで交流したり、現地の学校の長期休暇が日本の学校とずれていたために、その間に日本の学校に通わせていただいたりする中で、中国と日本の両方の文化に接してきました。
そのような生活の中で自然に、国際政治、特に東アジア情勢に強い関心を持つようになりました。中学の頃から、中国だけでなく、日本やアメリカなど、幅広く色んな国から発信された情報を取り入れ、比較検討し、自分なりに事実を再現する努力をしていました。興味本位で始めた自主的な学びでしたが、現在の研究における情報収集能力につながったと思います。
冷静に、客観的に研究できる自信
高校2〜3年の頃、「大学に進学して何をやりたいか、やるべきなのか」と自分を見つめ直し、国際政治研究への道を選びました。自分が今まで努力してきたこと、積み重ねてきたことを振り返ると、自然な選択だったと思います。
現在は、「中央調査部の再編成ーー中央書記処と中央政法委員会の役割を巡ってーー」をテーマに研究に取り組んでいます。私は、日本で中国研究をされている方よりも多く中国の風土と人情に接し、中国で日本研究をされている方よりも多く日本の風土と人情に接してきていると自負しています。そのおかげで、中国と日本の繊細な感情の違い、言葉では表現しにくいのですが、その微妙なところを感じるのです。双方の感情を知っているからこそ、どちらの感情にも揺さぶられず、冷静に、客観的に、さまざまな事柄を見ることができます。それが、研究を進める上で私の自信になっています。
留学生との交流からの気づきも
研究会では、加茂先生から新しい視点を提示していただいたり、アクセスするべき資料を推薦していただいたりしています。その情報はこの文献に掲載されている、そこを丹念に調査していけばディテールは見つかる、という具合に。私の研究手法は、資料を集め、テーマの鍵になりそうな部分をピックアップし、それに分析を加えて読み解いていく、という文献研究を基にしているので、このようなサポートは大きな力になっています。
また、留学生との交流からも得るものがあります。私は研究分野の関係で中国人学生との交流が多いですが、同じ中国人でも一人ひとり事情が違いますし、体験してきたことも違います。それぞれの話に、いつも気づかされることがあります。
今後は大学院修士課程に進学し、その後、研究を深めるために博士課程に進むか、あるいは企業での研究職や研究機関への所属を目指すか、あらためて検討しようと思っています。
教授陣が一流で、距離が近い
SFCは、教授陣が多様な分野の第一人者であり、学びの環境があらゆる面で整っているので、どの分野でも最先端の研究に取り組むことができます。ですから自分の研究したい関心分野を見つけるまでに時間をかけすぎないほうが、SFCの良さを100パーセント享受することができるのではないかと思います。そういう意味では、明確なビジョン、この分野を研究したいという強い思いを持っている人には特に適しているのではないでしょうか。
教員との距離はすごく近いです。私が所属する研究会も、いわば一つの家族みたいな感じで、気軽にコンタクトが取れます。しかしその近さは、楽な方に流れることが許されるような近さではなく、あくまでも質の高い学びを得るための近さです。教授陣が多様な分野の第一人者である一方で、教員と学生の間に壁がないところが、SFCのいちばんの良さではないかと思います。