多様な主体の相互作用が組織を活性化させることを、
野球部を実践モデルにしながら証明する
重田 清一 Seiichi Shigeta
学部:環境情報学部4年
出身校:佐賀西高等学校(佐賀県)
私は体育会野球部に所属し、平成28年度の主将を務めていました。野球部は約200名もの部員からなる大所帯です。
学年や試合に起用される頻度など、それぞれの立場によっては主体性が希薄になってしまうことがあります。
主将としてよりよい組織を作り上げるためには、部員たちに主体性を持たせることが不可欠でした。
そこで、野球部を実践モデルとして、組織における構成員の主体性がどのように生まれるのかを研究しました。
まずは、「組織に貢献する役割を果たすことで帰属意識が高まり、さらに主体性が生まれる」という仮説を立てました。
そこで、メンバー入りをしていない4年生に戦略的データ分析や幹部と下級生とのパイプ役といった役割を設定。
するとそれが、徐々に自発的な役割へと発展を遂げていきました。
データ分析は3つの班に分かれ、野球部の活動を知ってもらうためのブログ開設や、観客動員数を増やすための應援指導部等との連携など、当初私が考えていた以上に活動が広がりました。
今では小学生に向けの野球教室など、思いもよらなかった企画が生まれています。
まちづくりにおける効果的なプラットフォーム設計という概念を組織運営に応用する
現在アンケート等での結果の分析や、より強いエビデンスが得られる要因を探っているところであり、研究はまだ半ばです。
しかし、野球部での検証を通して、肌感覚としては仮説の裏付けができたのではないかと思っています。
今回の研究の理論的背景には、飯盛研究会で学んだ「まちづくりの活動を成功させるためには効果的なプラットフォーム設計が必要である」という考え方があります。
「プラットフォーム」とは、多様な主体の相互作用によって社会的創発をもたらすコミュニケーション基盤のことです。
効果的なプラットフォーム設計によって組織が活性化されるという考え方を、主将としてまとめなければならない野球部という組織に応用しようと、今回の研究がスタートしました。
まちと野球部との、組織としての共通点や相違点を意識しながら進めています。
組織の構成員の主体性を生むメカニズムとは、どのようなものなのか。
理論的な考察に加え、実践的なモデルを構築しながら検証を行った今回の研究は、野球部の主将であった自分ならではのものではないかと感じています。