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すべての子どもたちが“子どもらしく”生きられる社会を目指して

すべての子どもたちが"子どもらしく"生きられる社会を目指して

志村 梨々香 Shimura Ririka
学部:環境情報学部3年
出身校:湘南白百合学園高等学校(神奈川県)

まさかこんなことまで勉強できるとは

高校時代はさまざまな分野に興味があり、大学選びを迷っていました。その中で、シラバスを見て一番惹かれたのがSFCでした。自分の興味のある分野だけでなく、新しい領域にも挑戦できるようなカリキュラムが組まれており、多様な学びの機会があると感じ、ワクワクしました。それがSFCを選んだ理由のひとつです。
もうひとつの理由は、受験前から秋山美紀先生の研究に関心があったことです。子どもの頃から「心」というものに興味があり、「疫学的アプローチ」と「社会科学的アプローチ」を用いて、ヘルスケアの観点からWell-beingを探求されている秋山先生の視点と研究に惹かれました。
入学してからは、予想以上に多彩な授業に出合い、「まさか、こんなことまで大学で勉強できるとは...」と、その幅広さに驚いたこともあります。

ずっと関心があった子どものwell-being

私は子どもと関わることが大好きで、以前より子どものwell-beingにずっと関心を持ってきました。現在は秋山美紀研究会に所属し、個人研究とグループ研究の両方で、子どものwell-beingに関するテーマを研究しています。 個人研究では「養育態度と子どもの性格形成の関係の傾向を明らかにする」というテーマで、サイモンズの「養育態度類型」と「性格類型モデル BIG5」に基づくアンケート調査を大学生に向けて実施する予定です。この2つのモデルを融合して分析することで、養育と性格形成の関係を明らかにしたいと考えています。
"養育"に着目したのは、アルバイトを通してさまざまな子どもとその保護者と関わる中で、親子の関係が子どもの行動や感情に大きく影響していると感じたからです。特に、褒められた時や叱られた時の子どもの反応に、養育背景が反映されていると感じることがありました。しかし、子どもの状態から一方的に養育者を否定するのではなく、子どもの変化に応じて養育者も変わっていくもの、あくまで相互的なものだと捉えています。養育者と子どもの双方から、性格や考え方にどのような傾向があるのかを調べることで、課題の多い子育てに対するヒントや解決策が得られるのではと考えています。
アンケート調査の結果を詳しく分析することで、養育者と子どもの関係性を向上させるための手がかりを得て、養育者も含めた子どものwell-beingに貢献したいと思います。

病児教育をめぐる社会課題

グループ研究の目的は、「すべての子どもたちが『子どもらしく』生きられる社会を作る」というものです。そのために、私たちはフィールドワークを通してさまざまな子どもたちと関わり、彼らの声やニーズを聞き取っています。秋山美紀研究会には、骨髄バンクやメンタルヘルス、ジェンダーやセカンドライフなど、多様なテーマに取り組む班があります。その中で、私は「チルドレンケアラー班」に所属しており、メンバーのご縁から病児学習支援という社会的課題を知り、取り組むようになりました。
病気療養中の子どもたちの学習の場として、「院内学級」という公的制度がありますが、その設置率は全国で32%と低いうえに、義務教育に限られています。そのため、大学受験や就職といった大きな岐路に立つ高校生への支援が存在しないという問題もあります。また、二重学籍が認められていないため、実際に教育を受けられる子どもたちの数は少ないのです。
このような状況に対して、大学生が主体となって学習支援を行う団体が全国に存在しています。私たちは2023年度に8つの団体を訪問し、その取り組みについてインタビューを行いました。そして、病児学習支援団体を繋ぐ全国ネットワークを構築することを目指し、NPO法人Your School、埼玉医科大学総合医療センター緩和医療科との共同プロジェクトとして「病気療養中の子どもたちと学生がつくる、"学びの場"について考えるフォーラム」を2日間にわたって開催しました。インタビューに協力してくださった団体を三田キャンパスに招待し、学習支援に関わる皆様とたくさん意見交換を行うことができました。

SFCでの出会いは、大きな財産

SFCではORF(Open Research Forum)や学術交流大会など、研究成果を発表する機会が豊富です。また、チルドレンケアラー班としての活動で全国の団体を訪問するにあたり、研究助成制度で活動費用をサポートしていただきました。研究環境やサポートが整っていることもSFCの強みだと感じています。
個人研究では、これまでの研究計画を実践する段階に入りました。この一年は、子どもたちと関わるフィールドワークを続けながら、しっかりと分析と考察を重ねていきたいと思います。
SFCには、学際的な研究に取り組んでいるユニークで個性的な先生や学生とのたくさんの出会いがあります。異なる分野の研究者が互いに刺激し合って、学びを深め、創造性を発揮できる環境はSFCならでは。SFCでの出会いは、今後の人生において、大きな財産になっていくと確信しています。