非医療従事者が入院児サポートの輪に入り、
生活環境を改善するためのアプローチ
陣内 萌 Moe Jinnouchi
学部:総合政策学部4年
出身校:国際高等学校(東京都)
入院する子供のサポートでは、多職種の連携が必要ながら、実際には円滑な連携が取れていないケースが少なくありません。私は学校の教師などの非医療従事者が、入院児サポートの輪にスムーズに入り、入院児の生活環境を改善することを目的に、「長期入院児のホスピタライゼーション環境を改善する-非医療従事者の焦点を当てて-」というテーマのプロジェクトに取り組みました。
研究では、看護師、院内学級の教師、一般学級の教師、合計16名にインタビューを実施。その結果、医療従事者と非医療従事者の間で、各専門用語への理解不足による「言葉の違い」が大きな課題と認識されているにも関わらず、改善する具体的な方法が見出されていないことが明らかになりました。そこで教育関係のNPOが主催するウェブサイトに、「もし自分のクラスの子供が入院したら」というテーマで複数の記事を掲載。教員が入院児を受け持つ上で知っているとよい情報を、看護師に執筆をしていただくことで、教育と医療をつなぐ具体的なアプローチのひとつを、世に問うことができました。
入院児童の成長・発達に欠かせない本へのアクセスを担う、
「司書」の役割にも注目したい
インタビューを通じ、医療従事者は疾患の治癒を最重要視しているのに対し、教育者側は児童の発達を重視することから、理解のすれ違いが問題とされていることも分かりました。本研究では、通常学級を担っている教師への啓発を第一と考えたことから、学校関係者が集まる教育系のウェブサイトに、看護師から患児のサポートに関する記事を掲載し、相互理解の一助となることも目指しました。
具体的には、多忙な教員でもひと目で内容が理解できるよう箇条書きの記事とし、たとえば自分のクラスの児童が入院した際、手紙などはどういうタイミングで渡すべきか、医療側と教育側とのミーティングはどのようにすべきか、退院後の学校生活での注意点などについて、医療従事者の視点からのアドバイスを、できるだけ噛み砕いた表現で掲載しました。
今後の課題としては、非医療従事者の一職種として「司書」に注目し、入院児童の成長・発達に欠かせない本へのアクセスをどう改善していくかについて、既に問題解決に向けて行われている活動の実態調査を行いたいと考えています。