口の中にいる細菌を分析することで
健康を測る新しい指標を作る
上村 萌 Kamimura Moe
学部:環境情報学部3年
出身校:青稜高等学校(東京都)
健康な人でも口腔内には多数の細菌(常在菌)がいますが、細菌の数と健康状態には、何らかの関係があるといわれています。しかし、口腔内細菌がどのくらい増加したり減少したりすると、健康にどのような影響があるのかといった定量的なデータが少ないという課題がありました。実は、口腔内細菌の信頼できるデータを収集することは、大変に難しいことなのです。その理由は、朝・昼・晩といった時間帯や、食事や歯磨きなど、さまざまな理由で口腔内細菌数が変化してしまうためです。そこで、介護施設の協力を得て、基礎となるデータの採取に取り組みました。介護施設の利用者は規則的な生活を送っているため、生活習慣による個人差を抑えることができます。また、介護記録が残されるため、口腔内細菌数に変化があった場合に、その原因を推定しやすくなります。このように、極力同じ条件で採取されたデータは、今後の研究の基礎となるデータになることが期待されています。
「新しさ」を作っていく楽しさを知り
やりたいことを達成する力を身につける
このテーマを選択したきっかけは、少し意外なものでした。小型の口腔内細菌の測定装置があるが、どのように利用すれば、世の中の役に立つか、という課題に対する解決方法の一つとして、提案されたものでした。一家に一台の口腔内細菌測定装置があれば、体重計のように、健康状態を測定する指標の一つになるのではないか、と考えたことが始まりです。SFCには、このように現実の問題と向き合うカリキュラムもあります。例えば、「未来構想ワークショップ」は、企業のさまざまな課題に対して、学生が解決策を提示するという授業です。課題を解決したり、新しいものを創造したりすることは、ひとつの分野を学ぶだけではなかなか達成することはできません。複数の分野を同時に学ぶことができるSFCだからこそ、身につけることができ、どのような業界でも必要とされる能力だと感じています。そしてこの能力は、「夢を達成する力」でもあると思っています。