東洋医学の「未病」という概念を
地域保健や企業活動でどう活かすか。
武田 華子 Hanako Takeda
学部:総合政策学部4年
出身校:桐蔭学園高等学校(神奈川県)
「未病」とは東洋医学の概念です。一般的には病気と健康の間と認識されることが多いですが、私たちは発病には至っていないが心身に軽い症状がある状態として捉えています。
現在、医療技術の進歩によって、平均寿命が延びる一方で、若年層の生活習慣病の増加や高齢者の虚弱化など、社会が抱える健康問題は山積しています。そこで私は、医師で漢方医でもある渡辺賢治先生の研究会に所属し、病気に近づく前の「未病」を治すこと、すなわち心身の健康を保ち、健康寿命の延伸を目指す「未病産業」の現状を研究しました。
具体的には、企業の健康保険保組合などを対象に、未病に関するアンケートやインタビューを実施し、未病の現状について調査しました。さらに研究会の一員としては、東洋医学の考え方を取り入れ地域活性化に取り組む、神奈川県の「県西地域活性化推進協議会」で、県知事を前に未病に関するプレゼンを実施、県発行のパンフレット監修のお手伝いも行いました。
全力で支えてくださった先生と
研究会の仲間たちはかけがえの無い存在
私は、"未病産業の可能性"という点で、根拠を示しながら今後の発展につなげていければと、研究に取り組んできました。しかし、未病産業とは何か? と問われた際、そもそも"産業"という表現が正しいのかなど、迷いながらの研究でもありました。いずれにしても研究の実感として、企業や自治体などが、未病が衛生や産業に与える問題意識をさらに高めていく必要があると実感しています。
振り返ると、神奈川県知事を前に行ったプレゼンでは、その準備過程から、あらゆる部分で自分の未熟さや知識の無さに直面し、渡辺先生に「無知で申し訳ありません」と、謝罪のメールを送ったことがありました。すると先生から、「あなたは無知なのではありません、無垢なのです」とご返信を頂けたことは、印象深い思い出です。
このように全力で支えてくださる先生をはじめ、研究会の仲間や関係者の方々などの存在は代え難いものであり、SFCという環境だからこそ得られるものでした。