MENU
Magazine
2024.03.26

キャンパスを使い尽くそう|環境情報学部長 一ノ瀬 友博

春は別れと出会いの季節だ。昨日の学部卒業式では、環境情報学部338名の学生たちが巣立っていった。4月1日の入学式では新入生を迎える。卒業式も入学式も日吉キャンパスで行われるのだが、私たちの湘南藤沢キャンパス(SFC)も新入生の皆さんを迎える準備が着々と整いつつある。

慶應義塾大学には、主たるものとして6つのキャンパスがある。私たちのSFCは、神奈川県藤沢市に位置し、他のキャンパスと比べて最も郊外にあるキャンパスと言える。学部長として、高校生に向けて学部説明会を行ったり、慶應義塾の一貫校を含めた高校の教員と話したりする機会が度々あるのだが、その時に必ず出るキーワードが「遠い」である。SNSなどの書き込みでは、「遠くなければ・・・」といったようなものもよく見かけるし、学生たちからも出てくる不満の多くはアクセスの不便さである。しかし、SFCには他のキャンパスにはない特色がいくつもある。

まず、SFCは6つのキャンパスの中で2番目に広い面積を有し、その規模は約34haである。残念ながら日吉キャンパスにはおよばないが、学生一人あたりの面積であればSFCが最大だろう。そのキャンパスの約半分が緑地となっており、一部は芝生で覆われている。訪れる人の多くが緑の豊かさとキャンパスの美しさに感銘を受けるだろう。天気の良い日は多くの学生が芝生の上で昼食をとったり、さらには授業も外で開講されていたりする。このキャンパスの広さは、教育にも研究にも大いに強みを発揮する。例えば、6つのキャンパスのうち、ドローンを自由に飛ばせるのはSFCのみである。ドローン飛行については、キャンパスに限らず様々な懸念があって規制される方向でルールが制定されているが、一方でいろいろな可能性があり、教育や研究目的での利用も期待される。

広さを活かしてSFCならではの取り組みとしてはスチューデントビルトキャンパス(SBC)を挙げるべきだろう。SBCとは、現在ではβヴィレッジと呼ばれるエリアで、学生、教職員、そして卒業生までもが参画して、キャンパスを造り、使い方を決め、最終的には壊すことまでを視野に入れているプロジェクトである。このような活動は、慶應の他のキャンパスどころか、どの大学のキャンパスでもなかなかできないだろう。そして、これまでも度々おかしら日記で紹介しているが、2023年度からサステイナブルキャンパスプログラムがスタートし、周辺地域も含めたプロジェクトが動き出した。

でも遠いよ、と言われそうだが、2023年2月にはキャンパスの敷地内に学生寮であるΗ(イータ)ヴィレッジが開設された。慶應義塾大学で初めての大学敷地内の学生寮である。寮はいくつかのユニットに分かれているが、各ユニットには必ず留学生が配置されるので、異文化コミュニケーションも期待できる。敷地内だから教室へも徒歩1分だろう。住む場所もできたので、大学生活でキャンパスを使い倒してほしい。

スチューデントビルトキャンパス(SBC)
サステイナブルキャンパスプログラム
Ηヴィレッジ

一ノ瀬 友博 環境情報学部長/教授 教員プロフィール