MENU
Magazine
2023.08.24

与えられた環境を使い尽くし、興味に突き進もう|梅原 由美子さん(1998年総合卒業、2000年政メ修士修了)

梅原由美子 さん
Value Frontier(株)代表取締役 
新日本空調(株)社外取締役
ジャズボーカル ユミー
1998年 総合政策学部 卒業
2000年 政策・メディア研究科修士課程 修了

梅原さまポートレート

私は2006年に共同創業者とValue Frontier(株)を設立し、企業や行政の環境経営・政策コンサルティングをしています。近年は特に、気候変動や生物多様性の課題を解決しながら、企業価値を高めるSX(サステナブル・トランスフォメーション)に取り組んでいます。また上場企業の社外取締役として、ガバナンス改革やダイバーシティ推進にも携わっています。 かつて環境配慮はコストとしか理解されませんでしたので、環境が当たり前の品質・価値となることを目指した政策提言や、講演活動なども行ってきました。今ではESGは、企業の必須経営課題となっていますが、「環境は儲からない」と言われながらも、20年近く事業を創造し続けてこられたのは、SFCで叩き込まれたフロンティア・スピリットと、「自ら課題を発見し解決策を見出す」という自発的な学びの姿勢あったからだと思っています。

とはいえ、ここまでの道のりはひたすら「暗中模索」の連続。高校時代の豪州留学がきっかけで、「人と自然が共生できる社会をつくりたい」、とSFCに入学したものの、当時はズバリそのような授業はなく、経済学やデータ解析の授業で、無理やり環境と絡めた課題レポートを書いてみたり、環境と名のつくシンポジウムに片端から参加してみたり。考えつく限りの「体当たり」を続けていたところ、大学4年の時、国際的な環境リーダー育成プログラム(LEAD)に、奨学生として2年間参加させていただくチャンスに恵まれました。またその頃から子育ても始まっていたので、就職はせずに大学院に進学し、経済の「外部性」である「環境」をいかに「内部化」するか、という問いに没頭して研究することができました。ただ欧州の大学との共同研究で、育児をしながら、日本と海外と行き来し、大量の論文を読み、データ分析と悪戦苦闘する日々。なかなか過酷な2年間でしたが、卒業から25年が経ったいま、家族はもちろん、いつも全面的にサポートしてくれた友人達、教職員の方々のお陰で、今の私があることに、改めて感謝の思いが溢れてきます。

いま50歳を前にし、人生後半はできる限りのご恩返しをしたいという思いがあります。その1つとして、3年前から若手環境リーダーの育成とアクセラレーションにも力を注いでいます。若者をサポートする立場になってみて、当時の先生方が、なぜあんなに惜しみなく学びを与えてくださったのか、分かるようになりました。若者は未来であり、希望そのものです。若さは特権ですから、学生の皆さんには与えられた環境を使い尽くして、自分の興味に思う存分突き進んでいただきたいと思います。もう1つ、数年前に20年ぶりにライブを再開しました。SFCのジャズ研では個性的で才能溢れる仲間と出会い、彼らとライブで演奏することが、暗中模索の旅を続ける私自身の心の癒しでもありました。ジャズに詰まった美しいメロディ、そして人生の深い味わいや癒しを大切な誰かと共有できたら。そんな、私なりのご恩返しの思いで、これからも歌い続けていきたいと思います。


関連URL:DO!NUTS TOKYO
東京都環境局との協定事業、若手環境リーダーの育成と消費行動改革ムーブメント。アイデアピッチ大会を通じて、ゼロエミッション社会に向けたアクセラレーションを推進中。