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2023.08.17

千正康裕 特別招聘准教授 「政策のプロセスを学ぶ意義」


総合政策学部 特別招聘准教授* 千正 康裕
株式会社千正組代表取締役

担当科目:セクター横断型の政策形成(秋学期**)

2022年度から「セクター横断型の政策形成(秋学期)」と題した講義を担当しています。私も慶應の出身ですが、中等部から高校、大学と内部進学をして、受験もなかったので、部活に打ち込む学生生活をしていました。

そんな感じで、将来のことを全く考えてこなかったのですが、大学4年になった頃、真剣に将来のことを考えて国家公務員を志し、厚生労働省に入省しました。どうやったら、自分がよいポジションに行けるかということよりも、どうやったらみんながうまくいくかを考える方が自分の性に合っていると確信したからです。
当時は、慶應から国家公務員になる人は少なかったのですが、周りと違うことが気にならない性格が私の背中を押したような気がします。

厚生労働省では、年金、働き方、子育て、虐待、医療、女性活躍など様々な分野で国内の制度の立案を担当させてもらいました。秘書官やインドの日本大使館での勤務も経験させてもらい、非常に充実した職業人生を送ることができました。

管理職になった後、もっと自分の特技を多くの人に使ってもらうことによって、社会への貢献をした方がよいのではないかという思いにかられ、厚生労働省から独立して2020年1月に自分の会社を作りました。民間企業やNPOなどの立場からの政策提案のサポートをすることをメインにしつつ、執筆・講演活動、メディア出演など政策のプロでない人たちに分かりやすく伝える活動もしています。

大学での講義も、元々やりたかったことの一つで、学生の皆さんとの双方向のやりとりから大きな刺激をもらっています。私の授業では、自身の実務経験も踏まえた政策形成過程の変遷を学んでもらうとともに、民間から政策提案をしていかに政策を変えていくかという手法も習得してもらうことをねらいとしています。実際に政策を作る官僚の現場のこと、政策に働きかける民間、メディアの動きなどを学べること、民間からの提案手法や事例を学びながら議論を深めています。学術的な政策形成過程論と異なるこの授業のユニークなところと思います。

履修者は公務員志望の学生も半数近くいました。SFCという土壌から公務員を考えている人が意外と多かったことに嬉しさもありました。この授業は公務員志望の学生はもちろん、それ以外の多様な進路の学生に届けたいと思っています。民間からの政策提案というのは、つまるところ「変えた方がよいことがあるのだけど自分に100%の決定権がない」問題をどう前に進めていくかという営みなのです。

学生時代に自分の関心分野の研究課題を進めていくためにも役立ちますし、どのような進路に進むにせよ、社会では常に「変えた方がよいことがあるのだけど自分に100%の決定権がない」問題にあふれています。

そんな時に、知恵と勇気をもって仲間を増やして変えていける人が増えることを願っています。


*10月1日から予定されている職位です。
**秋学期の担当授業は予定です。