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塚原沙智子 研究会

2022.11.15/身近な興味から環境問題の解決へ

塚原沙智子 研究会

SFCにおける活動の中心は「研究会」。教員と学生が共に考えながら先端的な研究活動を行っており、学生は実社会の問題に取り組むことによって高度な専門性を身につけます。 tsukahara_1114.png

塚原沙智子 研究会の特色

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積極的にフィールドワークやワークショップを実施している研究会です。このような体制をとっている背景には、現代の若者は自然の恵みを感じる原体験や、生産や廃棄の現場と関わりない単なる「消費者」となってしまっていることで、環境問題に対して自分達の生活とは切り離されたイメージが定着することへの危惧があります。そこで私は、環境問題が発生している現地に赴いたり、環境問題が発生したり解決に至らない原因を自ら掘り下げることが必要だと考えています。また、与えられた知識から得るものよりも、主体的に発掘していく作業を通じた方が得られる学びも深いものとなります。このような趣旨を踏まえて、今年はOpen Research Forum(ORF)で、「SFCの食」に焦点を当てて、SFCに関わる人々の昼休みの食事のパターンや、売れ残りや食べ残しの廃棄の実態を通じた「環境負荷」について調査し、「食とサステナビリティ」をテーマに出展する予定です。この探究によって、キャンパスをどう変えていくべきか、環境問題を身近に引き寄せて主体的に考えられるように工夫しています。
この研究会では環境問題以外にも興味を持って取り組むことがある学生を歓迎しています。これからは、私たちの生活を維持していくため、環境問題を無視することはできません。そのため、広い視点を持ち合わせていることが重要となるためです。また、SDGsの17番目の項目「パートナーシップで目標を達成しよう」にもあるように、様々な領域の人々と交流しようとする姿勢も必要となります。

ユニークな研究や学生の例

動物が大好きで、森林火災から動物たちを守りたい、と海外の森林でボランティアに参加したことをきっかけに、研究会に入った学生がいました。彼女は、森林火災の原因の一つとしてパーム油の原料栽培のために大規模な森林伐採が行われている現状を知り、そこから発展して、このような環境問題に寄与しない商品・食品の普及について研究するようになりました。
卒プロでは、日本で、森林伐採に寄与しないサステナブルな商品であることを認証するマークが十分に認知されていない現状や、認証を取得しようとする企業が増えない理由に注目し、パーム油を輸入する企業や認証機関へのヒアリングもしています。このように、認証があっても消費者の商品選択に活用しきれていない原因や、ボトルネックが何なのかを調べることで問題構造を明らかにしました。
他にも、サステナブルな化粧品の普及について研究した学生もおり、自分の趣味や興味から研究に発展させていったケースが多いです。

研究分野におけるホットなニュース・話題との関連性

衣食住などの身近なサステナビリティに注目しています。環境問題を扱うなかで、身近なところから自分ごととして変化をもたらしていくことの重要性を、私自身感じています。自分の生活の成り立ちを明らかにすることは、ゆくゆくは途上国の問題との関連を明らかにすることに繋がります。そのため、まずは身近なことに注目しながらグローバルな問題解決に展開できることを望んでいます。
今SFCでは「カーボンニュートラル」を実現しようとしています。現場のステークホルダーを巻き込んで、キャンパスや地域から、変化を起こしていきたいです。

進路

就職先としてはIT系や金融系など様々な企業に就職しています。進学する学生もおり、海外の大学院で環境の勉強を深めることを目指しています。

塚原沙智子 研究会の魅力  ― 学生の目線から ―

塚原研究会に所属されている総合政策学部3年 市川美優さんと環境情報学部4年 山口梨奈さんに研究会の魅力について伺いました。

雰囲気や特徴

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塚原研究会は、学生自身の興味がある環境問題について幅広く研究することができ、それぞれが問題意識を持って入ってきます。また、塚原先生が「環境政策」や「環境保全計画論」という授業を担当されており、その授業を通して先生の人柄に惹かれ、研究会に入ってくる学生も多いです。研究会では、前半は各学生が「環境ニュース」を担当し、自分で最新の環境に関するニュースを調べて発表した後に、全員でディスカッションを行います。授業の後半は、霞ヶ関(環境省)出身の塚原先生の人脈を通じて、専門家を招いて講義を行っていただくことが多いです。たとえば林業に興味を持っている学生がいれば、森林総合研究所の研究者の方を招いたり、福島の原発事故に関心がある学生がいれば、環境省の事業で福島の再生事業に携わっている方を招いてお話を伺ったこともありました。メンバーには、海外経験がある人や、ビジネスの視点から環境問題を考えている人、さらには、衣服を通じた環境問題への関心があり、服飾学校とダブルスクールをしている人など様々な人がいます。

得られるスキル

全員が環境問題に真剣に取り組みたいという思いを持っている点が良いと感じています。一般的にはペットボトルを利用する人が多い中、塚原研究会ではマイボトルを持参している人が多いところなどは、環境問題に対して同じ志を持っていることを実感できることが嬉しいです。また、授業では積極的な発言が求められるので、以前は消極的で受け身だった私も、積極性が身につきました。他にも、環境問題についてのディスカッション中に、他の学生と意見が異なった時など、新しい気付きを得られる機会があり、視野が広がったと思います。

メッセージ

それぞれの持ち場から、変革の時代に立ち向かう

国際社会は、2050年までに化石燃料依存を脱却するという目標を打ち立てました。数百年かけて築いた社会の形を数十年で根本的に変えるということです。しかし、現場レベルにはまだこの衝撃は伝わってはいません。どうやったらダイナミックに現場を動かせるのか。これから、「サステナビリティ」を合言葉に、それぞれの専門分野で答えを探し、専門や立場が異なる人たちが協働して解決方法を探さなければなりません。大きなチャレンジですが、皆さんがそれぞれの持ち場を率いて、他分野と交わっていく面白さもあるはず。SFCで、現場から多角的に考える視点を学び、変革の時代を見据えて一緒に立ち向かっていきましょう。
塚原 沙智子 環境情報学部准教授 教員プロフィール


「環境省所属の先生だからこそできる授業」

塚原先生が環境省から出向で来ているということもあり、普段絶対にお話を聞くことのできないスペシャルなゲストからのお話を聴ける機会がとても多いです。ゲストを交えたグループワークもアレンジされています。ゲスト講義をきっかけに、福島再生事業の現場見学ワークショップに行かせていただいたのは貴重な経験でした。国が政策を行うにもさまざまな障壁があること、その解決方法などを多様なグループワークで学びつつ、より良い環境政策について議論しています。とても暖かい雰囲気の楽しい研究会です。(市川美優さん)

「学びとは」
SFCに入学したての頃、講義中に学生が教員に対して意見していたことに驚きました。ただ講義を聞き内容を吸収するだけではなく、自分なりの考えを持って、理解できない点や異なる意見があった場合は臆せず投げかけていたのです。教授も学生の意見を真剣に受け止め、応えていたため講義が深まっていくのを感じました。学ぶとはどういうことなのか、SFCに来て初めて分かったような気がします。みなさんもSFCに来て、是非たくさんのことを学んで欲しいと思います。(山口梨奈さん)

取材・制作協力:桑原武夫研究会MC班