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2022.10.21

ロシア語インテンシブコース履修のススメ|総合政策学部長補佐/教授 藁谷 郁美

2022年秋。新学期が始まった。今学期から新規科目「ロシア語インテンシブ1」がSFCに開設された。週4回の集中コース「インテンシブ」は「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「マレー・インドネシア語」「朝鮮語」「スペイン語」「アラビア語」。ここに今学期「ロシア語インテンシブ」が加わった。しかもロシア語ネイティブスピーカーの教員3名が新たにロシア語チームのメンバーとなった。これもSFC創設以来、初めてのこと。それぞれウクライナ、ロシア、ベラルーシご出身の、いずれもロシア語教育で素晴らしい実績を持つ方々だ。1

これはSFCにとって記念すべき出来事だと思うのだが、ご存知ない方々が多いようなので、ここで改めて書き留めておきたい。

SFC創設から今年で32年。当時のキャンパス設立メンバーであった関口一郎先生や鈴木孝夫先生が理念として大切にされてきた多言語教育と言語政策。日本が接する重要な諸外国との関わりに貢献できる人材の育成を考えると、明らかに重要な言語圏の一つだ。ロシア語は戦略言語として重要だというメッセージは、これまでも執行部が変わるごとに引き継がれていたが、ついにこの秋、実現に漕ぎ着けた。

外国語学習は、スキルとしての言語習得と同時に、それぞれの言語圏・文化圏の視点を知るための貴重な視野基盤を構築する。モノの見方に驚くほどの違いがあることへの気づきを与える。今回、ロシア語インテンシブコース開設の時期が、ウクライナにおける戦闘状況という思いもよらない事態と重なった。なぜいまロシア語なのか、と問われることは多い。しかし、だからこそ、言語を理解し他者を理解することのできる人、自分とは異なる窓から世界を見ることのできる人を育てることが急務であると感じる。多言語教育を通して一人ひとりのなかに複言語・複文化的な視点が育まれること、多様な視点で物事を見ることができる学生たちの育成につながるといいな、と切に思う。

注1)現在は「ロシア語インテンシブ1」「ロシア語ベーシック1」「ロシア語ベーシック2」が開講されている。なお、ロシア語は卒業に必要な124単位に含めることができる。3年生への進級条件としての言語コミュニケーション科目8単位には今のところ含められない。
参考リンク:https://www.students.keio.ac.jp/sfc/pmei/curriculum.html#courses

藁谷 郁美 総合政策学部長補佐/教授 教員プロフィール