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2021.04.30

裏山|看護医療学部長 武田 祐子

自宅裏山に狸が現れたのは今年の1月。

武田先生0403-01.jpgマンション9階でありながら、北側斜面にはツツジや桜をはじめ、四季を楽しめる草木が植えられ、広い庭に面しているような景観です。JRのトンネルの上に続くため、住宅のない林が広がっています。植生も広葉樹、常緑樹、針葉樹と多様であり、多くの鳥の住処にもなっています。春は鶯が谷渡りの声を響かせ、メジロやコゲラ、セキレイ等が入れ代わり立ち代わり姿を見せます。季節を問わず集団でやってくるスズメ、ムクドリ、ハト、カラスは行動時間帯が異なり、団体様の時はほかの鳥の姿が見えなくなるようです。

鳥類だけではなく、哺乳類も見かけます。常連は草むらで昼寝をする猫、木々を身軽に行き来するリス。大きさや柄からおそらくタイワンリスでしょう。そして冒頭の狸。近隣の空き家にハクビシンが住み着いていたという話も聞くので、狸もそれなりの生息数があるのでしょうが、自宅で目撃したのは今回が初めてでした。狸は一夫一婦制と言われますが、現れたのもペアでした。冬日での晴天の日中、しばらく2匹でのんびりと日光浴をしてから、林の中に戻っていったようでした。都内での目撃がニュースになったりすることはありますが、生息環境が狭められ住宅街にまで出没するようになってしまい、おまけに害獣扱いされることには心が痛みます。武田先生0403-02.jpg

3月のおかしら日記で、キャンパス事務長の廣田さんが、鴨池の水鳥やSFCキャンパス周辺の植物をご紹介くださいましたが、少しゆったりと周囲を眺めてみるといつもと違うものが見えてきます。晴れた休日に、裏山をしばらく眺めていると、何となく心が軽くなり、おまけに遠方凝視の効果でしょうか、視力がよくなるようです。(本棚の背表紙の文字がはっきりと見えるようになります。本当です!)

3度目の緊急事態宣言が発出され、連休をどのように過ごしたらよいものか思案されている方も、近場の景色を見直してみませんか。意外な発見やささやかな楽しみに出会うことができるかもしれません。

武田 祐子 看護医療学部長/教授 プロフィール