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小熊英二研究会

2021.03.08 / Sociology, Historical sociology, Philosophy

小熊英二研究会

SFCにおける活動の中心は「研究会」。教員と学生が共に考えながら先端的な研究活動を行っており、学生は実社会の問題に取り組むことによって高度な専門性を身につけます。

小熊英二研究会の特色

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個々の学生が自分の取り組みたいテーマを研究し、定期的に発表、指導、ディスカッション等をしてそれぞれの研究に役立てるようにしています。あくまで個人研究で、みんなで共同研究に取り組むことはありません。

研究していく上で学生に大切にしてもらっていることは2つあります。まず1つ目は、「研究として成り立つものをテーマにすること」です。例えば外国の歴史などを調べたい場合、その言語を扱えるかなど制約が多くなるため、多くが日本の局所的な部分について扱うことになります。2つ目は、自分自身が本当にやりたいテーマに取り組むことです。

当研究会では共同研究を行うことはあまり求めていません。大学院に進学しない学生は、研究に充てられる時期は大学にいる数年間だけで、その後の人生で研究することは滅多にありません。学生には、自由に研究に取り組める貴重な期間に、拘りたいテーマを自分で選び自分で調べて、独自の調査を行ってもらいます。研究というメソッドに沿って調査を行い、先行研究を元に自分の研究をその分野の中に位置付け、自分の責任で論文執筆まで行ってもらいたいと考えています。1人で考え1人で研究してみてほしいということです。その上で、私自身の経験や研究方法に基づいて、できるだけ学生のサポートを行います。

学生が取り扱うテーマは日本の歴史や現代日本に関わることが多いですね。基本的に個人研究のスタイルなので、研究対象を限定してフィールドワークをする人が多いです。

ユニークな研究や学生の例

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関わった全ての学生が印象深いですね。研究内容から、学生を思い出します。年に1つか2つ以上、出版できるようなレベルの高い論文もありますね。
出版されたものの1つに、障害者の介助ボランティアをしながら、自ら担当した要介助者の方の半生をヒアリングし、そのライフヒストリーを歴史の1つとして位置づけた研究がありました。
また、「かわいい」という概念について研究したいという学生がいて、抽象的ではなく具体的な内容にして研究を進めた方が良いとアドバイスをしました。そこから、主に70年代の女性誌からどういった「かわいい」という概念が広がったのか、調べてみると文房具のブームが1つのきっかけになっていることがわかり、デザイン開発が進む過程を調べながら「かわいい」文房具やグッズがどのように発展してきたかを歴史的、統計的な分析を含めて研究していました。

※岩下紘己さん(2020年総合政策学部卒業)の卒業論文 『ひらけ!モトム』(出版舎ジグ)

研究分野におけるホットなニュース・話題との関連性

私は近現代日本、現代日本についてどのように日本の社会が成り立っているかを研究していますが、民族論、植民地、雇用関係などテーマは様々です。自分の研究を行うときにその分野のホットな話題は把握していますが、どちらかというと100年~200年といった歴史の中で、どのような変遷を経てホットになったのか、ホットな事象が生まれる中で逆に何が姿を消していったのか、などの方が興味がありますね。

進路

研究テーマが広いので就職先も様々です。人口移動の統計分析を行った人はリサーチ系の職に就いたり、文具の開発や雑誌の研究をしていた人は広告代理店に就職したりなど、広く捉えると研究分野と進路が結び付いている人もいますね。

小熊英二研究会の魅力

雰囲気や特徴

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輪読をベースに、小熊先生の解説や本には記述されていない応用知識等を講義で補足する研究会と、個人研究に加えて、多様なバックグラウンドを持つ学生間での知識共有と議論を軸とした研究会に分かれています。卒論執筆をする学生は、両方の研究会にまたがって所属する傾向があります。
講義では、社会学の哲学的な古典を現代社会に持ってきた時にどのような議論がされるか、今学期は女性の雇用問題などの議論が行われています。

諸問題に対する疑問を動機に原因分析や施策立案を行う学生が多く、身近な社会問題から世界情勢まで幅広いトピックに関して普遍的に学び、深く考察したい人に向いていると思います。個人を尊重し学生が研究したいことを全力で応援してくれる研究会なので、個人研究のフィードバックでは1人ずつ時間をかけて先生の丁寧かつ熱心なアドバイスをいただくことができます。

得られるスキル、入ってよかったと思う瞬間

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前者の研究会では、インプット量が多いので、情報の整理・取捨選択をするスキルが身に付きます。後者の研究会では、アウトプットの機会が豊富で議論を通して多様な研究に触れ、社会学の知識・分析法について学べるだけでなくロジカルかつクリティカルな思考が鍛えられます。
私(鈴木莉乃さん)は「日韓の歴史認識問題で社会側の認識がどのような過程で生まれてくるのか」について研究していますが、研究会で"社会"という分野の視点から研究することにより、日本と韓国で認識の差を見つけることが出来ました。
入ってよかったと思う瞬間は、親身な先生のご指導を感じた時です。一人ひとりの話を聞いて、先生の専門外の研究内容の部分に関しても必ずアドバイスをくださいます。

研究会分析シート

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小熊英二 総合政策学部教授 研究者情報データベース(KRIS)

小熊英二研究会

メッセージ

「『自由』になってもやっていける力」

昔読んだ本に、こんな一節がありました。「我が家の犬が首輪をはずしてほしそうにしていたので、自由にしたら大冒険の旅にでも出るのかと思ったけれど、自分の犬小屋の周りをぐるぐる歩き回るだけだった」。
それと同じように、「好きな研究をやればいい。サポートや指導はするよ」と伝えると、困ってしまう人もいます。与えられた課題でいい点をとることしかやりたくない人は、SFCに入るべきではありません。自分でテーマを持ち、研究という1つのプロジェクトを実行する力。それを学びに来てください。(小熊英二教授)


「未来を切り拓く」

SFCでは、パッシブではなくアクティブに多様な分野の学びを行うことができます。これは大きな強みで、異なる分野を学ぶ中で自分の持つ問題意識に対してのアンサーを多角的な視点から見つけることができます。
このように自分の持つ問いに対し自発的に学んでいると、自分がいるべき場所、果たしたい役割などを発見することができます。私もSFCで勉強する中でどんどんと学ぶことが楽しくなり、社会へ貢献したいと強く思うようになりました。SFCで学ぶことは社会の未来を切り拓いていく為の第一歩なのではと思います。(総合政策学部4年鈴木莉乃さん)

取材・制作協力:桑原武夫研究会MC班