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2020.07.09

吉原 由香里 特別招聘講師 「SFCで見つけた大切なもの」

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棋士

担当科目:囲碁(春学期)

私がSFCの学生だった20数年前、今のように教壇に立つ日が来るとは夢にも思いませんでした。当時、囲碁のプロを目指しながらもなかなか試験に合格できず、思い悩む日々...。集中しようにも気持ちがコントロールできず、囲碁の勉強をしなくてはと思いながら、そうできない時も多くありました。この時、大学生活が大きな支えになりました。

思い描いた通りにプロになれずとても苦しくて、本当は何をしたいのかもわからなくなっていた私は、日々模索していました。大学の授業は充実していて、学びたいと思うものは大概そろっていました。プログラミング、政治、経済、心理学、そしてCMを作る授業まで。当時からSFCは何でも学べると言っても過言ではないほど、多様な授業がありました。
様々なものに挑戦してみました。教養として学んでみたいものから、心の弱さを克服するヒントを得たいと心理学を学んでみたことも。自分を見つめ直す貴重な時間でした。

この自分探しを抜け出すのに、友人たちの存在も大きな支えでした。多様な価値観を持つ友人たちとの交流は大きな刺激をもらいました。日本全国各地からきている方や留学経験者も多く、皆、夢や希望に満ちてキラキラしていました。素晴らしい出会いでした。時には厳しい言葉をかけてくれる友人もいました。そして私が何をしたいのか引き出す言葉をかけてくれた友人もいました。様々なきっかけがあり、もう一度プロを目指すことに決めました。自分の人生は自分で責任を持って決める。そこからはかつてないほどの努力をしました。

周りの友人たちが続々と就職が決まり進路が決まっていく中、五か月に及ぶプロ試験を受けていました。そして4年生の12月。プロ試験に合格しました。とにかく嬉しかったです。友人たちもとても喜んでくれました。
あのままだらだらとプロを目指していても結果は出せなかったと思います。あの時、一旦囲碁から離れて客観的に自分を見つめ直し、大学で様々なことを学び、友人たちと語り合う時間があったから、大切なものに気づけました。SFCでの生活は大きな力になりました。

プロになadpDSC_6917.jpgってからは文字通り生活が一変しました。それまでは「勝つこと」ばかりを目標にしていた囲碁が、いかに人々に楽しみをもたらし、人をつなげる素晴らしいコミュニケーションツールであるかを囲碁ファンの皆様に教えていただくこととなりました。囲碁を通して多くの出会いがありました。改めて囲碁の魅力を感じました。

そんな時、お声をかけていただき、SFCで囲碁を教えることになりました。母校であるSFCで授業!夢のようでした。久しぶりに訪れたキャンパスは当時とほとんど変わりなく、学生たちの目の輝きも当時の印象そのもの。10年ほど前に始まったこの授業もおかげさまで毎回多くの学生たちが受講を希望してくださり、盛り上がっています。学生たちは和気あいあいととても楽しそうです。実は囲碁は不確定要素の中で、様々なシュミレーションをしながら自分らしい着手を選択していくもの。自分なりの最善が大切です。時に人生の縮図だと思うことがあります。学生たちが真剣な対局の後、自分たちの考えを検証すべく生き生きと語り合っている様子を見ていることはなんとも嬉しいです。私がSFCでかけがえのない時間を過ごしたように、学生たちも貴重な時間を過ごしているように見えます。

最先端のことが学べるキャンパスで、国内で1500年以上続くとても古い文化の囲碁の授業を行う日がくるとは。いま再び、SFCライフを楽しんでいます。

吉原 由香里 環境情報学部特別招聘講師 プロフィール