“量子コンピュータ”や“量子ネットワーク”を研究して
新たな世界を創造する。
<研究会名>
環境情報学部 准教授
ロドニー バンミーター
専門分野:量子計算、ムーアの法則後のコンピュータ・アーキテクチャ、ディストリビュテド・マス・ストレージ・システム
実用化に向けたシステム設計やアーキテクチャの研究に取り組んでいる。
従来のコンピュータは「0か1」しか表せないデジタル計算。それに対して、量子力学を活用した量子コンピュータでは、「0と1が同時に存在する」という重ね合わせの状態を作り出せるため、並列処理ができ、膨大な計算を高速で行うことができます。「スパコン」と呼ばれるスーパーコンピュータが数百年かけても解読できない問題を量子コンピュータなら一気に解くことが可能に。しかし量子コンピュータの一般的な実用化には、まだまだ解決しなければならない問題があり、まさにこれから。そこで私の研究会では、実用化に向けた量子計算によるシステム設計や量子ネットワークのアーキテクチャを追究しています。日本の教育機関において大規模の量子ネットワークをデザインできる所はほとんどなく、そんな中でも、それが実現できる数少ない研究会でもあります。
インターナショナルジャーナルに論文が掲載された卒業生もいる。
量子コンピュータや量子ネットワークといっても、学生たちが取り組んでいる研究テーマは多種多様です。その中でも注目を集めているのが、量子コンピューティングによるエラー訂正の研究です。コンピュータの計算時には、必ずエラーが発生します。既存のコンピュータでも、エラー訂正機能がついており、膨大な量を計算すれば、それ応じてエラー数も増えていくので、大規模となる量子コンピュータでは、かなりのエラー訂正が求められます。この研究が実用化に向けた決め手の1つになっているといっても、過言ではありません。この他には、暗号通信にも量子計算は活用されており、「量子鍵配送」はメジャーな研究テーマで、多くの学生が取り組んでいます。学生たちは、主に個人で一つのテーマを取り上げて、研究を進めます。進捗状況の報告やレビューは2週間ごとに実施。これからの分野であり、幅広い知識が必要なので、研究テーマをなかなか決められない学生には、私からテーマの方向性を提示することもあります。その後は、学生が自らで調べて、考え、研究テーマを絞っていきます。卒業生の中には、斬新な視点で研究を行い、インターナショナルジャーナルに論文が掲載された人もいます。他の研究者がその論文を引用するほど、質の高い研究内容でした。
最新の技術と、ベースとなる知識を学べ、
エンジニアとして長きにわたってキャリアを築くことができる。
私たちの研究会では、エンジニアとしてキャリアを築き続けられるように、学生たちには指導をしています。私たち研究会を含めSFCが強いのは、研究のための技術開発ではなく、社会における問題を解決するために、常に考え、技術を応用できるかを研究している点にあります。量子コンピュータや量子ネットワークを研究することで、物理学やコンピュータサイエンス、数学などの理論から、実務で役立つプログラミング技術まで、幅広く学ぶことができます。最新の役に立つスキルや技術を習得できると同時に、そのベースの知識も学ぶことができるので、長きにわたってキャリアを築くことができます。
量子コンピュータや量子ネットワークは、まさに次世代のコンピュータでありネットワークです。新しい技術や考え方が毎年発表されており、数年で状況は急激に変化しています。あなたがSFC生になった頃には、実用化の手前まできているかもしれません。この研究会なら、自分の手でパラダイムシフトを実現できるチャンスがあります。