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2008.12.12

堀茂樹研究室

SFCの現場

堀茂樹研究室

研究領域キーワード

西洋思想史、哲学、文学、現代フランス研究

どのような研究をしているのですか?

人間存在の有限性を踏まえて、「よく生きる」こと、他者と「共に生きる」ことをテーマに「われわれの現在」を問い直し、未来への思想的展望を拓こうとするのが私たちの企てです。具体的には、研究会1「西洋思想の古典とわれわれの現在」では、あえて「今、ここ」から遠い西洋哲学の古典を輪読しています。一方、研究会2「『よく生きる』&『共に生きる』ための思想的探究」では、参加者がそれぞれ個人研究を進めつつ、中間発表を重ねて互いにコメントを出し合ったり、議論をしたりする場です。政治哲学や教育論、文学や芸術の分野を扱っている人が多いです。私はといえば目下、山崎正和氏の芸術論を紐解き、人生にとって芸術とは何かという問いに答えを見つけようとしています。

研究室の一日を教えてください。

研究室のスペースが学生にも開放されていて、研究会1での発表を準備する3〜4人がグループワークのために集まったり、他のメンバーが自習や息抜きをしに来たりと、いつも賑わっています。またそこでは、学生が自主的にサブゼミをおこなうこともあり、過去には「ドストエフスキーを読む会」が隆盛でした。ほかに、「西洋史サブゼミ」「現代ヨーロッパ事情」「ルソーを読む会」等が開かれました。堀先生主導のものでは、先学期から「哲学の基礎」と題するサブゼミが開講されています。こうして堀研究室では、正規の授業時間外にも、メンバー間に活発な交流があります。
堀茂樹研究室

先生はどんな方ですか?

面倒見のよい、熱い先生です。いったい寝る暇があるのだろうかと心配になるくらいの多忙さ。かなりの時間を学生の指導に費やしている様子。かつてフランス在住期間が長かったせいか、完全な日本語を話しているにもかかわらず、それがどこかフランス語に聞こえなくもなし。馴染みの店はご自宅のある神楽坂界隈の洒落たフレンチや和食。ドアは必ず女性を先に通して自分はあと、というジェントルマンぶり。一方でひょうきんな雰囲気もあるのでとても親しみやすく、研究室メンバーに限らず、学生に慕われています。ちなみに研究室メンバーの9割近くが堀先生のモノマネを得意としています(笑)。

研究室ならではのキーワードはありますか?

重厚な古典的思想書を読み切るには粘り強さが必要です。ときにはテクストを拾い読みしただけで「肌に合わない!」と感じて投げ出したくなるのですが、そんなとき、先生は必ず、「だまされたと思って一度は昔の人の思考の筋道を辿ってみろ。そうしないかぎり『出会い』も『発見』もあり得ない」と言って励ましてくれます。何度聞いてもハッとさせられる教えだと私自身感じています。また、知識の獲得よりも知的態度の涵養を重視するところに研究室の特徴があるといえるかもしれません。権威主義への服従、流行思想の受け売り、やたらと難解な言葉を並べる言説などは、はっきり排すべきものとされています。

リポーター
石川由美子さん 環境情報学部3年

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(掲載日:2008/12/12)

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