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Magazine
2009.07.28

梅垣理郎研究室

SFCの現場

梅垣理郎研究室

研究室の研究領域キーワード

近代化、開発、ヒューマンセキュリティ

どのような研究をしているのですか?

梅垣研究室では、上記の「研究領域キーワード」に挙げたようなキーワードを踏まえながら、現在私たちが抱える政策課題、政策が与えた影響を検討しています。今では世界にまんべんなく敷かれた国民国家体制の中で、開発政策等が住民を基礎として考案、実施されますが、そうした政策が機能しているケースは決して多くありません。近代的な装置としての国家の有意性を再問しつつ、こうしたことを個別具体的な文脈を踏まえ検討を行っています。
個人研究テーマは様々ですが、どの研究も共通して近代化、開発が軸になっています。具体的には都市貧困、移動労働者、家族制度などです。フィールドは主にアジアや日本をフィールドとする学生が多いですが、アジア地域に限っているわけではなく、アフリカ、オセアニア地域をフィールドに研究している学生もいます。

研究室の一日を教えてください。

研究会は火曜、木曜、週に2回あり、1〜2冊の文献を輪読し、一回当たり3〜4人の発表グループを中心に議論を進めていきます。発表では発表者が内容をただ纏めるのではなく、筆者が何を言おうとしていたか、そこからどのようなことを考えられるかを発表します。文献は古典から新しいものまで幅広く、社会学、開発経済学、国際政治などを扱っています。また学期の中間や期末では学生の個人研究の発表と議論が行われます。
研究会がない日も、研究室には常に学生がいます。互いに研究、文献について真剣に話し合ったりもすれば、全く関係ないようなバカバカしい話をしたり、研究室の灯が消えることはありません。
研究室の特徴として、大学院生、留学生との結びつきが非常に強いです。院生の方々はすごく気さくで、個人研究の相談などを気軽に話せ、真剣に聞いていただけます。留学生とも交流が深く、普段から研究室でコミュニケーションをとる機会がとても多いです。一緒に旅行に行ったり、パーティーを開いたりもしていて交流が深いです。とかく狭いSFCで、これだけ広い付き合いができる研究室は梅垣研だけだと思います。

梅垣理郎研究室

研究室ならではのキーワードはありますか?

(1)「想像力」
社会科学というのは点と線を結ぶ一種のストーリー作りです。"始まりの点"と"終わりの点"をつなげる線を想像するということはもちろん。"そうなってもおかしくなかったのにそうならなかった線"や"全く新しい視点から点と点とを繋ぐ線"を生み出すにも必要な力が想像力なので、私たちは想像力を大事にしています。

(2)「下流からの視点」、「個別具体的」
当研究会では研究、考察を行う上で、ただ単一的に与えられたデータからそのまま判断するのではなく、文脈に即しながら多角的に検討することを大事にします。一つ一つの事例が持つ豊かな情報から多角的に検討し、研究を行います。政策の影響を判断する上で、統計データを利用するだけでなく、政策がその影響を受ける側(下流)でいかに受け取られているかを検討します。

先生はどんな方ですか?

「現代政治論」など、梅垣先生の授業を履修した方はわかると思いますが、とても気さくで明るく柔らかいオーラを持っている方です。それでいて、鋭い観察眼、豊かな知識、想像力を持っていらっしゃいます。学生はいつも、先生の議論、研究対象、情報への真摯な姿勢に驚かされています。何気なく先生が挙げる文学作品や映画も一見、近代化、開発などと関係ないように思えるのですが、深いところで研究とつながっていることを示されます。非常に奥深い方です。つまるところ、「優しさ」を体現した様な人だと思います。「百聞は一見にしかず」と言われるように、今回の字面の紹介だけでは伝えきれないことが多いので、自分の目で確かめるためにも、ぜひ研究室へお越しください。

リポーター
芹澤学さん 総合政策学部4年 
米沢貴英さん 総合政策学部3年

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(掲載日:2009/07/28)

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