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2006.11.09

海から護る

SFCスピリッツ

海から護る

橘 大史さん
海上自衛隊護衛艦「むらさめ」砲術長 2等海尉
2000年総合政策学部卒業

1996年SFCに進学した私が、その10年後に護衛艦の甲板から時の内閣総理大臣に敬礼することなど想像すらしていませんでした。

私は現在、海上自衛隊の護衛艦の砲術長として勤務しています。勤務内容は多岐にわたりますが、わかりやすい言葉で表現すると、艦に装備されている武器(大砲やミサイル等)に関して指揮官を補佐する立場にあります。射撃の訓練等では、実際にミサイルを発射したり、大砲を撃ったりもしています。

海上自衛隊の幹部自衛官(他国海軍では「士官」に相当)は、防衛大学校を卒業した人だけというイメージがかなり多いですが、実際は、防衛大学校出身者と私のような一般の大学出身者等で構成されております。ときどき、「なぜ自衛官になったのか。」と質問されることがあります。理由は決して一つではありませんが、必ず答えとして挙げるのが、広く社会に貢献できるような職業に従事したかったからということです。これは慶應義塾で教育を受けたことでそう考えるようになったと思っています。また、社会に自分の能力を提供できる職業でも、特に「国防/安全保障」の分野を選択したのは。SFCに進学したときから、ほとんど常に「○○を守る」という観点で、研究をしたり、議論してきた環境に自分があったからではないかと思います。

大学時代、親しかった友人の結婚式に招待されても、訓練等で出港することがほとんどで、今までなかなか出席できたことがありませんでした。艦艇で勤務する限り、仕方のないことと分かっていても、残念に思っています。しかし、我々の仕事の一つ一つの積み重ねが国の平和と独立を守ることにつながっていると思うと、自分にとってこれ以上誇ることができる仕事はないと信じて勤務しています。

(掲載日:2006/11/09)