MENU
Magazine
2007.02.14

「ド理系業界」でのSFC卒業生

SFCスピリッツ

「ド理系業界」でのSFC卒業生

眞貝知志さん
トヨタ自動車株式会社 生技開発部
2001年総合政策学部卒業、2003年政策・メディア研究科修士課程修了

私は現在、トヨタ自動車の生技開発部にて、高効率クリーンエンジンの先行開発に従事しています。100年以上の歴史をもつ自動車用エンジンはまさに「人類の英知の結集」。それを超えて新しいものを作りだしていくことは困難そのもので、コンマ数%単位の技術の積み上げという気の遠くなるような世界ですが、その分、確実な成果を上げられたときの充実感はひとしおです。

現在でこそ、SFC卒業生としてはやや異色な「自動車メーカーのエンジニア」という仕事に浸る毎日ですが、私もSFCへ入学したときはマーケティングや ITなど、いわゆるSFC的な分野に興味を持つ学生だったと思います。しかし同僚の友人達の秀才ぶりを目の当たりにしてしまった私は、彼ら以上に社会で活躍するには「血みどろになってでも努力できるほど好きな」自動車という分野で勝負するしかないな、と考え、奇しくも私の入学と同時にSFCへいらっしゃった清水浩先生の研究室に出入りするようになりました。

以来、電気自動車「KAZ」のボディ構造に関する研究や、デトロイトモーターショーへの出展などの研究室活動にどっぷりとはまった数年間を過ごし、「正しいと信じることに向かって徹底的に突き進む」という清水研マインドを体得できたような気がします。

トヨタでの配属は電気自動車の開発という夢とは距離のある部署となりましたが、一旦気持ちを切り替えて、在学中に培ったシミュレーションの経験や、その清水研マインドも武器にして日々仕事に取り組んだ結果、2005年のトヨタ全社内の技術発表会で最優秀研究論文発表賞を受賞することが出来ました。新入社員として入社後わずか3年目というタイミングはもちろんですが、なにより、SFC卒業生も自動車メーカーのエンジニアという「ド理系」の業界でも通用する、ということを示せたことに喜びを感じたものでした。

入社当初、「大学での専攻は?」と尋ねられた時など、SFC出身であることにやや引け目を感じる瞬間もありましたが、現在は「説明が長くなりますけどいいですか?(笑)」と自信を持って答えるようにしています。

(掲載日:2007/02/14)