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2006.10.04

幾何モデルを「斬り」続けて8年

SFCスピリッツ

幾何モデルを「斬り」続けて8年

セスナ172よりAllegheny County Airportを撮影
自分で操縦するセスナ172より、
Allegheny County Airportを撮影
山川総司さん
(Research Associate、1995年環境情報学部卒業、1997年政策・メディア研究科修士課程修了)

渡米して既に8年が経過した。政策・メディア研究科を卒業後、カーネギー・メロン大学の機械工学科で博士課程を修了し、今は、そのまま同じ研究室に残り、リサーチ・アソシエイトとして働きながら、博士課程で開発したプログラムの製品化を進めている。

博士課程の研究テーマは、解析(シミュレーション)用メッシュ生成だった。工業製品は、強度、耐熱性、振動特性、空力特性など、いくつもの要件を満たす必要がある。全ての要件を満たすまで、設計段階で製品のプロトタイプを何度も作り直すのでは、製品サイクルも長くなり、コストも高くなる。プロトタイプをコンピュータモデルに置き換え、シミュレーションによって要件を確認することによって、高品質の製品を低いコストで作ることが可能となる。

そのコンピュータシミュレーションの精度を決めるのが、メッシュである。CADソフトで作った幾何モデルは、そのままではシミュレーションには使うことができない。シミュレーションで利用するには、メッシュモデルに変換する必要がある。メッシュモデルは、単純な形状(四面体や六面体等)の集合で立体を表現したモデルで、いわば、幾何形状を細かく斬ったモデルと言える。ただし、この斬り方は一通りではなく、悪い斬り方では解析精度が落ちる。従来は、良い斬り方をするには、ユーザが長い時間をかけてメッシュ生成ソフトを操作しなくてはならなかった。私の博士論文のテーマは、高品質なメッシュを自動生成する方法を開発することだった。

既に、二つの会社で、博士課程で開発したメッシュ自動生成プログラムの採用が決まった。自分が開発したプログラムが、新しい製品開発に貢献しているという実感が楽しい。また、研究内容を製品化するチャンスに恵まれたことは、とても幸運だった。これからも、このチャンスを最大に活かしていきたい。

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(掲載日:2006/10/04)