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2007.06.06

イギリス人財務スタッフの横顔

SFCスピリッツ

イギリス人財務スタッフの横顔

織田崇信さん
Fujitsu EMEA PLC, Assistant Manager
1997年総合政策学部卒業、1999年経済学研究科修士課程修了

無名士剣道場にて日英剣道家とともに
無名士剣道場にて日英剣道家とともに
私は、総合政策学部を1997年に卒業しました (岡部光明先生の研究会及び藤沢剣友会に所属)。SFC卒業後、三田の経済学研究科で経済学全般と応用ミクロ経済学としての金融論を勉強し、充実した日々を過ごした後、富士通に就職。財務部の国際財務グループという部署で7年間働き、約1年前からイギリスにある金融子会社へ赴任しています。

業務の内容は、イギリス・欧州のグループ企業でのキャッシュマネジメントと、ユーロMTNと呼ばれる中期社債の発行による資金調達です。そこでの実質的な担当者は私一人であることから、ほとんど全てを自分で仕切らなければならないハードな状況にありますが、関係会社のイギリス人財務部員達も同じオフィスで働いており、彼らに非常に助けられています(他社財務部や金融機関、コンサルティング会社等からの転職者が多いことから、教わることが多くあります)。また、仕事の仕上がりに厳しい財務マンは日本のほうにより多いと思いますが、イギリス人の財務マンは大雑把で細かなミスは多いながらも合理的かつスピーディーに大局的な判断を下す力に関しては優れている様に思われ、その対比が興味深く感じられます。

20代前半の若い人たちは、財務や会計の資格取得に真剣に取り組んでおり、会社もそれを支援しています。彼らは就業後や週末も勉強に励み、試験前の数週間は休暇(Study leave)を取得することが会社で認められているのです。それでいて誰一人頭でっかちな理論家がいないのは、さすが経験主義の国だからでしょうか?その点は、叩き上げ重視の日本企業と互角な気もしますが、加えてプレゼンテーションの巧みさをも考えると、イギリス人のほうに軍配が上がる気がします。

職場には両親あるいは両親のいずれかが旧植民地からの移民であるという人が多いのも興味深い点です。彼らの多くは優秀であるのみならず、苦労してきているせいか、人間的魅力にあふれており、こういう人たちがいることを知ったのは私にとって新たな発見でした。私の上司のうちの一人は、インド系イギリス人で、ファイナンス畑のキャリアが長く、本業の傍らで専門雑誌の編集委員なども務めている人ですが、多国籍・多宗教から成る職場メンバーへそれぞれ気を遣いつつ、職場全体を上手くまとめています。また、ガーナ人の母親を持つ同僚は、実家はそれほど裕福ではなかったそうですが、奨学金を取って、パブリックスクールを卒業しました(190センチの身長を活かしてキックボクシングの選手もしています)。格闘技に関する話題は、剣道や杖道・居合などの武道を英国でも続けている私にとっても楽しみな話題の一つです。才能に恵まれ努力を惜しまない二世の若手達は、今後次第に英国社会でのしあがっていくのではないか、と私は思います。

また、私自身、娘が生まれて10ヶ月経ち、家族が増えたばかりであることから、彼らが家庭を大切にする姿勢が非常に印象的です(前出のインド系イギリス人マネージャーは、朝顔を合わせると、“How is your little one?”と聞いてきます)。夕方6時ともなると事務所に残っている人間はほとんどいません。日本では深夜残業が当たり前だったのを思い起こすと驚くばかりです。私も家族の顔を見るために、極力早く帰る様に心がけています。もっとも、家に帰ったら妻も娘も寝た後であることが多いですが。。。妻の佐由子は、 SFCの同期生です(旧姓眞島)。

→イギリスの関係会社「Fujitsu Services」
→イギリスで稽古している剣道場「無名士剣道場」

(掲載日:2007/06/06)