SFCスピリッツ
問題発見・解決の基本作法を活かす、"ベンチャーで働く"という選択肢
島田敏宏さん
グリー株式会社 経営企画・事業開発担当
2005年総合政策学部卒業
GREEはmixiと並び日本で最初のソーシャル・ネットワーキングサービス(以下、SNS)です。私はグリー株式会社の創業期よりインターンとして参加し、SFC卒業後は経営企画・事業開発担当として企業活動に必要なあらゆる業務に携わってきました。
定額制3Gケータイやモバイル検索エンジンの普及により、モバイルインターネット上の経済空間は転換期を迎えています。このビジネス環境の抜本的な変化へ適応すべく、GREEの事業ドメインもモバイルSNSへと戦略をシフトしています。その中で私は現在、パートナー企業(KDDIなど)との事業提携の推進を担っています。市場調査、サービス利用動向の分析、オペレーションコストの最適化、新規サービスの企画立案、及びそれらを実行に移す開発計画の策定が主な仕事です。
入社以来、人材獲得・広報・ユーザーサポート・開発管理・営業・SEなど幅広い業務を、それこそ"消防ホースで水をガブ飲みするような思い"で無我夢中にこなしてきました。日々浮上してくる新たな課題は(当たり前ですが)どれも経験したことの無いものばかり。その場で必死に勉強して、社内外の担当者・専門家に聞きまくり、とりあえずの解答をひねり出す、この繰り返しです。まさに総合力が問われる毎日でした。
とある外資系経営コンサルティング会社に入社予定だった私が卒業直前のある日、収入・知名度・キャリアパスの全てで劣る社員数5名に満たないベンチャー企業に入社すると決めた時、周囲からは「なぜ?」という顔をされたものです(笑)。しかし、展望が不透明な場所にこそ機会が溢れているに違いない。当時の私にとって、ベンチャー企業の現場はインターネットや経営の最先端を学び尽くせる活きた教材の宝庫に思えたのです。卒業から2年、振り返ってみればその目論見は成功だったと言えるでしょう。
これだけ多岐にわたる業務を手掛けてこれたのも、SFCで徹底して基礎能力を培ったおかげだと感じています。思えば、同世代の中でも圧倒的に頭のキレる友人達に囲まれて育ったSFCでの4年間は本当に幸せなものでした。
学生時代の大半を捧げた國領二郎研究室では、「実践のために学問する」ことが大事だと教わりました。実践を意識しつつも地道な古典の輪読を重視する教育スタイルです。毎週の研究会では経営学、経済学、社会心理学、認知科学など、必要とあらばあらゆる学問領域の論文・文献に眼を通し、情報社会特有の最新事象について正解の無い討議を重ねました。
最も感謝していることは、理論というツールを使って「前例の無い課題の構造を整理し、理解する」ための思考訓練をひたすらに積んだ経験です。SFCで問題発見・解決の基本作法を身に着けたという"自信"こそが、今の私を根底で支える原動力となっているように思います。
現在担当しているモバイルSNS事業
→『EZ GREE/モバイル版GREE』
(掲載日:2007/09/19)